相続対策って本当に必要?



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遺産相続に関する争いの実態と、相続増税の今後

法律を取り扱うテレビ番組などで、数多く取り上げられるのが『遺産相続』です。
遺産相続について直接的・間接的に取り上げた小説や映画も数多くあります。
たいていは、遺産をめぐって家族・親族間で骨肉の争いを繰り広げる、という内容です。

そんな”遺産をめぐる骨肉の争い”なんて、どこか遠い世界の話なのでしょうか?

遺産の争いは増加傾向
それではまず、下の棒グラフをご覧ください(スマートフォンの方は申し訳ございませんが拡大してご覧ください)。


このグラフは、遺産分割に関する話し合いが相続人の間でまとまらず、紛争化して裁判所に持ち込まれた遺産分割事件数の変化を表したものです(最高裁判所司法統計年報からグラフ化)。
遺産に関する紛争が右肩上がりに増加していることがわかります。
このグラフに含まれない、裁判所の外で紛争となっている数は、この表の数倍にのぼると考えられます。

この原因として考えられるのは、不景気による収入減や年金制度に対する不安から、人々が親族の財産への依存を深めていることや、核家族化の進行によって親族間の交流が希薄になっていることなどが、理由として考えられます。

親が健在な時には、あまり家族はもめないものです。しかし、親という”重し”がなくなったとき、それでも家族仲が良いままであるという保証は、どこにもないのです。

残念ながら、遺産をめぐる悲しい争いは、ドラマの中だけではなくなってきているようです。


遺産の多少は関係がない
次に、下記の円グラフをごらんください。


こちらは、裁判所に持ち込まれた遺産分割事件について、資産の価額別にその割合をあらわしたものです。
『資産の価額』ですので、現預金だけではなく、不動産などすべての遺産を金銭で評価しています。

これを見ると、遺産で争っている事例のほとんどが、自宅価値を含めて遺産総額5,000万円以下のケースであることがわかります。
遺産の大半が自宅不動産で占められている場合、相続人間で公平に分割するのが難しいため、紛争になりがちなのです。

さらに、遺産分割紛争事件の約3割(グラフの青い部分)が、遺産総額1,000万円以下となっています。
たとえ50万でも100万でも遺族にとっては決して少ない財産ではありませんし、また介護などで生前の故人に貢献した相続人が多めの遺産配分を求めるような事例が増えていることから、遺産総額が莫大でなくても紛争化しているというのが現状なのです。


相続税は増え続ける
2015年(平成27年)1月1日以降に相続が起きると、相続税の基礎控除の縮小によって相続税の申告が必要となるケースが増え、実質的に増税となります。

すでに日本国の国及び地方の長期債務残高は、2012年度末の時点で対GDP比200%近いという、先進国に類を見ない異常な規模に膨れ上がっています。
ところが税収を増やそうにも、個人所得の伸びは期待できず、会社もあてにできないとなれば、個人が保有する『資産』に対する課税が強化されるのは当然の成り行きです。なぜなら、資産を作り上げた本人はすでにこの世にいないので反論できませんし、しかも資産が多い人への課税を強化するという政策は、一般的に世論の支持を受けやすいからです。

よって、相続税の増税はこれで終わりではなくまだ始まりにすぎないと、断言してもいいでしょう。

効果的な相続対策とは

さて、家族間での遺産トラブルが決して他人事ではなく、税金のことも考えなければならない。
あれもこれもと考えると、結局面倒くさくなって、あきらめてしまいがちです。

では、効果的に相続対策を進めるには何から手をつければ良いでしょう?

それは、次の優先順位で、バランス良く対策を取るのが理想です。
第1 遺産紛争対策(相続人間でもめないようにすること)
第2 納税資金対策(相続税を納めるおカネを用意すること)
第3 節税対策(税金を安くすること)

近頃、相続税法の改正で従来よりも相続税がかかりやすくなったため、新聞や雑誌などで相続”税”に関する特集が組まれることが多くなりました。
そのため、このページをごらんになっている方の中には、「節税対策」を最優先でお考えの方もいらっしゃることでしょう。

しかし、次の理由から、優先すべきは節税よりまず「遺産紛争対策」なのです。
1)相続税法は毎年変わります。現時点では有効な節税対策が、ずっと有効かどうか誰にもわかりません。
2)小規模宅地の特例など相続税を抑えるための特例を確実かつ効果的に利用するには、できる限り家族間の紛争を避け、早期に相続税の申告を済ませる必要があります。
3)家族円満が第一ですので、まず遺産紛争対策をきちんと行い、「それにあわせた」納税資金の確保と節税をすることが合理的です。節税が最優先になると、本末転倒になりかねません。

たとえば、財産を現預金で持っているより不動産で持っていたほうが相続税は安くなるでしょう。しかし相続を受ける方が相続税を支払う現金を持っていなければどうしようもありませんし、家族でもめてしまえば不動産を公平に分配することは困難で、結局安値で売却して分配する結果になりかねません。
それであれば現預金を手許に残して、遺言や生命保険を活用して上手な配分を考えるのが、かしこい相続対策と言えるのではないでしょうか。

相続対策は、地道に、できるところから、が鉄則です。完璧な正解はありません。
どんなにお金をかけたところで、すべての問題を解決する魔法は存在しません。
『相続税を劇的に減らす』というような対策には、必ず強烈な副作用があります
そのような甘い文句で誘いをかけてくるような”自称専門家”には要注意です。

相続あんしん相談室でお手伝いできること

相続あんしん相談室(八潮・三郷相談室)では、下記のメニューの他にも、相続対策や資産管理に有用な各種サービスを提供しております。


将来の相続や現在の資産管理に対する悩みや不安を抱えている方に総合的なアドバイスを提供する『なんでもあんしん相談』を無料で行っております。
すべての人に有効な相続対策というものはありませんが、コストとのバランスを考えながら優先順位をつけることはできます。
まずは一緒に考えてみませんか?



遺言書は、相続対策を講じる上でとても重要なポジションをしめる法律的に重要な文書です。
相続あんしん相談室では、遺産紛争を防止するための効果的な公正証書遺言作成を支援する『遺言書作成サポート』を提供しており、高い評価をいただいています。



上記以外にも、事案に応じて適切な相続対策や資産管理対策を提案することが可能です。
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