【Question】
遺言を書いたら、すぐに死んでしまいそうで、どうも気が進みません。
遺言を書くのは、どのくらいの年齢の人が多いのですか?
どういうタイミングで作成するのがおすすめですか?
【Answer】
遺言は、退職のような人生の節目の時期に作る方や、古希や喜寿のようなご長寿のお祝いをきっかけに作る方が多く、ある程度お年を召された方が多いのは確かです。
しかし、遺言は15歳以上であれば誰でも作れますので、中にはお若い方もいらっしゃいます。
(実例を下のReferenceでご紹介します)
『遺言』とは、死期が間近な人が書くものであるというイメージが強く、なかなか気が向かないのはよくわかります。
また、自分の財産も増えたり減ったりしますから、なるべく間際になってから書きたいというお気持ちもわかります。
しかし、人の寿命はわかりません。
ぎりぎりになってからでは、遺言書を書こうにも書けないほど急に病気が悪化するかもしれませんし、不慮の事故に出遭うかもしれません。
ぎりぎり遺言をのこせたとしても、遺言の内容に不服がある相続人が、「死亡直前に作成された故人の遺言は、すでに正常な判断能力を失った状態で書かれたものであるので、無効である」と主張して、争いになるケースが多いのです。
無理に今すぐ遺言を書きましょうとは申しませんが、もし遺言を書くならば、元気なうちに、思い立った時に書くのが、タイミングとしては最善だと思います。
なお、遺言は、
(1)一度書いても、何度でも書きなおしができます。
また、
(2)遺言を書いても、あなたの財産はあなたの自由にしてかまいません。
たとえば、「A市B町の土地を長男Xに相続させる」という遺言を書いたからと言って、その土地を絶対にご長男に残さなければいけないということはありません。
あなたの財産なのですから、他人に売ってしまっても、まったく問題はありません。
【Reference】
ある若いご夫婦の『遺言書』
以前、ある手続きで、お二人とも30歳に届かない若いご夫婦から、自宅マンションの権利証をお預かりしたときのことです。
権利証の中に2枚の紙が挟まっていました。
普通の便箋の半分くらいの、小さな紙でした。
2通ともタイトルは『遺言書』となっていて、1通はご主人が、もう1通は奥様が書いたものでした。
そして、その内容は、どちらも「私は、自分の全財産を妻(夫)に相続させる」という内容だったのです。
メモ用紙のような小さな紙で、封もされていませんでしたが、法律上の自筆証書遺言の要件をみたした、正真正銘の『遺言書』でした。
我々のような専門家から見れば、内容的には不十分な遺言かもしれません。
しかし、このような遺言があるということによって、万一のことがあっても、お連れ合いの法律上の立場がより強く安定したものになることは、間違いありません。
遺言をあまり重く考えすぎず、この若いご夫婦のように、『道具』として考える。
それくらいが、遺言の作り方としては「ちょうどいい」のかもしれません。
厂厂厂厂厂厂厂厂厂厂厂厂厂厂厂厂厂厂厂厂厂厂
厂厂厂厂
厂厂厂 ©司法書士法人ひびき@埼玉八潮三郷
厂厂 お問い合わせはこちら
厂 無断転載禁止