Q100 遺言を訂正するには

【Question】

自筆証書遺言を書き終えましたが、一か所だけ、土地の面積を書き間違えてしまいました。

遺言の内容そのものは変わらないので、書きなおすのではなく、なるべく簡単に訂正して済ませたいと思います。

どのように訂正すればいいのでしょうか。

 

 

【Answer】

遺言の内容を変えることなく、ごく一部を訂正するだけでしたら、民法に規定された方法で訂正することができます。

民法に規定された訂正方法を守らないと、訂正そのものが無効になり、訂正する前の内容が有効なものとして扱われます(遺言自体が無効になるわけではありません)。

ただし、訂正個所が多い場合には、書きなおしたほうが無難です。

 

【Reference】

偽造・変造されることを防ぐため、民法で、自筆証書遺言を作るルールは厳格に決められています。
同じ理由で、自筆証書遺言の訂正方法も厳格です。民法968条2項という条文がそれです。

「自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。」(民法968条2項)

このルールさえ守れば適切な訂正になりますが、一般的には、次のようにして訂正します。

(1) 削除する部分を、二重線で消します。
(2) 二重線の上(縦書きなら右わき)に、訂正した文言を記入します。
(3) 二重線にかかるように、印鑑を押します。遺言書を作成したときに押した印鑑と同じ印鑑であれば、理想的です。
(4) 余白で、訂正した場所を指定し、訂正した字数を付記します(下の例をご参照)。
(5) (4)のわきに署名します。

(クリックすると拡大します)
自筆証書遺言の訂正方法

このルールを守らないで行われた自筆証書遺言の訂正は、「その効力を生じない」と定められています。
つまり、訂正されなかったことになり、訂正する前の内容が有効なものとして扱われるということです。
遺言書それ自体が無効になるわけではありません。

このように、自筆証書遺言は訂正が難しく面倒なので、必ず下書きをしてから清書するようにします。
もし間違えた場合には、大変ですが、できるだけ書きなおすことをおすすめします。

 

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2014年6月10日 | カテゴリー :