Q025 遺言に書いてはいけないこととは?

【Question】

自筆で遺言を書こうと考えていますが、遺言書に書いてはいけないことはありますか?

 

【Answer】

遺言の内容は基本的に自由にです。
法律に決められている『遺言事項』以外のことでを書いてもかまわないのですが、遺言事項以外のことを書いても法的な効力はありません。
もっとも、内容によっては、相続人が意思をくみとって実現に向けて努力してくれるかもしれませんから、希望があれば書き遺しておくと良いでしょう。

もちろん、遺言は法律に基づいて作成する文書ですから、法律や公序良俗に反する内容は無効になります。
また、トラブルを起こす引き金になりそうな内容や表現は、絶対につつしむべきです。

 

【Reference】

遺言に書くことが法律上認められている事項以外のことを書いても、法的な効力はなく、相続人や第三者がそのような遺言に拘束されることはありません。
たとえば「株式全部をAに相続させる」という内容の遺言は有効ですが、「その株式を売却して家をリフォームしてください」と書いても、相続人がそれに縛られることはありません。

とは言え、そのような希望も、書いておくことによってかなえられる可能性がありますから、まったく無駄というわけではありません。希望したいことがあれば、遠慮なく書いてみるのも一つの方法です。

 

ただし、遺言を書く場合には、次のような内容や表現は避けるべきです。

1)法律や公序良俗に反するもの
このような内容はそもそも法律で禁止されており、遺言の記載事項としても無効となります。

2)相続人等やその家族・親族に対する誹謗中傷
このような人々への誹謗中傷(悪口・罵言)は、トラブルの原因となりますので避けるべきです。立つ鳥跡を濁さず、です。
ただし、遺言で相続人を廃除する場合には、廃除事由について詳しく記載しておくべきですが、こちらは誹謗中傷とは別の問題です。

3)日頃の言行と一致しない内容
常日頃から「この土地は長男のお前に継がせる」と言っていたのに、いざ遺言書を開封してみたら「次男に相続させる」「孫に遺贈する」などと書かれていれば、当然、相続人の間に混乱を招きます。
「他にも遺言があるのではないか」「遺言書そのものが無理やり書かされたものなのではないか」など、大きな紛争につながる危険をはらんでいます。このような遺言は現実に結構あるのですが、遺言を書く際には特に注意してください。

4) 後継ぎ遺贈
「財産をXに遺贈する。X亡きあとはYに遺贈する」というように、財産をもらいうけた人がさらに亡くなった後に受け継ぐ人まで遺言で決めておくことを『後継ぎ遺贈』といいます。

このような後継ぎ遺贈は、上記の例では前半のXに対する遺贈の部分は有効ですが、後半のXからYに対する遺贈の部分は原則として無効と考えられています。Xの財産処分の自由を侵害することになるからです。

このような後継ぎ遺贈を実質的に可能にするには、『信託』という仕組みを活用する必要があります(後継ぎ遺贈型受益者連続信託)。これについては、いずれ別の機会に触れることにし、ここでは深く立ち入りません。

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2013年11月19日 | カテゴリー :