お客様の声53 M様

お客様の声53 M様

この度は妻の実家の土地、家屋に対する権利移転の件で、大変お世話になり、有り難うございました。
何かと金銭トラブルの多い実家の土地を他人に渡す事もなく名義変更出来ないかと思い悩んでましたが、知識(専門)も知人も無く困ってました。越谷市の無料相談の案内を見、ダメ元で相談に伺いましたが、司法書士の先生に種々と細かく説明して頂き、やっと光が見えました。後日、改めて先生に相談した所、迅かに具体的にお話が伺え、かつ、迅速に行動対応して頂き、本当に助かりました。
私共と同様に相談相手が無く悩んでいる方は、多勢いらっしゃると思います。皆様の知識、資格でもって、大いに援助される事を願ってます。私も及ばずながら無料相談会のPRに一役かわせて頂きます。
この度は誠に有り難うございました。

M様、どうもありがとうございました。

M様は、「誰に相談すれば良いのかわからない」とお悩みの中、様々な資格者専門家集団「相続おまかせ.com」の無料相談会にお越しいただきました。色々な悩みが一度に解決したと、大変お喜びいただきました。

相続おまかせ.comによる専門家合同「相続・遺言無料相談会」は、毎月第三土曜日の午前中に越谷市で開催しております。当ホームページでもご案内いたします。仕事の売り込み等は一切ございません。お悩みの方はどうぞお気軽にご利用ください!

 

 

Q121 生前贈与をする場合の注意点は?

【Question】

相続税対策として現金を生前贈与する場合、毎年少しずつ実行することによって大きな節税効果があると聞きました。

そこで、三人の孫(二十歳は超えています。)に、それぞれ毎年100万円程度の現金を、5年間、生前贈与しようと思います。どのような点に注意すれば間違いないでしょうか。

 

【Answer】

何は無くとも贈与契約書

まず、暦年課税制度による贈与の場合、贈与契約書を、毎年、贈与の都度作成し、贈与者(あげる人)・受贈者(もらう人)の両方が署名捺印することが重要です。

贈与契約は書面を作らなくても法律的には有効に成立するので、特にご親族の間で金銭を贈与する場合に、書類を作成しないケースも多々あります。
しかし、書類をきちんと取り交わしていないと、そのお金がもらったものなのか、それとも借りたものなのかが明確ではなくなる等々、相続のときに法律的な争いを招いたり、税務トラブルを生じたりする原因になります。
「親しき中にも礼儀あり」ではありませんが、相手が身近な人であるからこそ、きちんと契約書を交わすことがトラブル防止につながります。

贈与契約書を作成するにあたってはさまざまな注意点がありますが、あなたのように贈与税の暦年課税制度を利用して、毎年110万円の基礎控除枠をフル活用する場合には、毎年その都度、贈与契約書を取り交わすようにしてください。

何故かと言うと、
「毎年100万円を贈与するという約束をして、それを5年間繰り返す(A)」
のと、
「100万円を5年間毎年贈与する約束を、最初の年にまとめてする(B)」というのとでは、少しニュアンスが違うのです。

Bのパターンのような贈与契約を『定期贈与契約』と言いまして、1年ごとに贈与を受けたと考えるのではなく、『定期金に関する権利』(5年間にわたり毎年100万円ずつもらう権利)を、最初の年に一度に贈与されたものとみなされてしまう可能性があり、初年度にドンと贈与税が課されられるおそれがあります(有期定期金の評価についてはQ060)。

そこで、数年にわたる贈与契約を締結する場合には、Aパターンのように、毎年その都度、契約書を作成しておくのが安全です。

(実質的に定期贈与を内容とする契約が締結された場合に、税務上、本当にこのような扱いがなされているのかどうか確認はしていませんが、このような課税が実際になされたとすれば、個人的には非常に違和感があります)

 

また、契約書に署名することを面倒に感じる方が多いのですが、贈与契約があなたとお孫さんとの間で間違いなく成立したということを証明するため、署名だけは必ず自分で署名するようにし、できれば実印も押印しましょう。これもトラブル防止のためです。

あげる側のあなたばかりでなく、もらう側のお孫さんも署名してください。
贈与は「契約」の一つと考えられていますから、あなたの「あげます」という意思とお孫さんの「もらいます」という意思とが一致しなければ成立しません。あげる側の一方的な意思だけでは贈与とはならず、もらう側の了解が必須です。

なお、余計なお世話ですが、契約書には200円の収入印紙と消印をお忘れなく。そして、無くさないように大事に保管しておきましょう。

 

贈与の証拠を残す!

次に、贈与があったという事実を明確にするために、金銭を贈与する場合には、契約書を作るだけではなく、贈与者の通帳から受贈者の通帳に送金する等、誰が見ても疑いないような証拠を残します。
これは、贈与があったという事実ばかりではなく、それがいつ実行されたのかという証拠になるので、税務当局対策としても相続対策としても、非常に重要です。現金を手渡しして領収書を受け取るだけでは、領収書の日付などは後からどうにでもなりますから、証拠力としては弱いのです。

なお、贈与財産が現金でなく、不動産のように登記・登録を要する財産である場合には、ただちに登記・登録をします。税務上の考え方では、登記・登録をしたときに贈与があったものとして扱われるからです(後記Reference)。たとえ契約書に確定日付を取っていてもダメです。

 

財産は受贈者に管理させる

三番目に、贈与財産については完全に受贈者が管理するようにします。贈与財産をお孫さんの口座に送金しても、その通帳や届出印をあなたが管理していたのでは、贈与があったと認めさせることはできません。このような預金は「孫名義だがあなたが所有する財産」と見られてしまい(名義預金)、相続税対策としての贈与は失敗してしまいます。

 

基礎控除額を超えたら贈与税の申告・納税

最後に、暦年課税制度による生前贈与では、贈与財産の合計が年110万円を超える場合には、受贈者であるお孫さんが贈与税の申告をして納税する必要がありますので、贈与者であるあなたの側からお孫さんに注意を促しましょう。
合計が110万円以下であれば、もちろん申告は不要です。

なお、贈与税は原則として受贈者が支払うべきものですから(受贈者が無資力の場合を除く)、贈与税をあなたが払ってあげると、これも贈与とみなされる可能性があります。

 

【Reference】

『贈与』に対する考え方は、法律と税務では異なる

意外に思われるかもしれませんが、『生前贈与』という契約について、法律上の考え方と税務当局の考え方には大きな隔たりがあります。

たとえば、「生前贈与契約は、いつ効力を生じるか」という点を挙げることができます。

法律(民法)的には、原則として、贈与契約が成立したときに効力が生じると考えられています(民法176条)。
契約書を交わすことは必要条件ではないので、口約束でも、約束したその時に贈与の効力が生じます。これが法律の考え方です。

ところが、税務の世界ではこうではありません。

税務上、生前贈与がいつ効力を発生するかを見てみると、次のようになります(相続税基本通達1の3・1の4共-8、同1の3・1の4共-11)。

(1)書面による贈与  :贈与契約の効力が発生した時
(2)書面によらない贈与:履行の時
(3)所有権が登記・登録の対象となる財産:登記・登録の時(特に反証がない場合)

どうしてこうなっているのかというと、簡単にいえば、「贈与税は高い税率の累進課税だから、もらった人に贈与税を払ってもらうには、現実に贈与財産を手にした後でないとおかしいよね。財産をもらう前に高い税金払えとは言えないなぁ」という考え方が、税を徴収する側にあるからなのです。

このように、生前贈与では、法律の考え方と税務上の考え方が一致するとは限りません。

生前贈与は、特別受益や遺留分という形で相続争いの原因となることがあるので、法律的に問題が生じないように予防しておかなければなりません、
いっぽう、生前贈与の成否は贈与税や相続税にダイレクトに影響してくるので、こちらに対する気配りも欠かすことができません。
そして、これらを同時並行で行わなければならないところに、生前贈与の難しさがあります。

法律の上でも税金の上でも、失敗するとダメージが大きいのが生前贈与なのです。なるべくなら、税務と法務の専門家の助言を受け、適切に実行するようにお願い致します。

 

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2014年9月2日 | カテゴリー :

Q120 不動産と同時に、借入金も贈与したいのですが(負担付き贈与)

【Question】

収益不動産の贈与は相続対策になると聞いて、私が所有しているアパートを娘に生前贈与し、名義を書き換えようと思います。

このアパートの時価は5,000万円(相続税評価額は4,000万円)ですが、この物件を購入した時の銀行借入金が、担保付で2,500万円残っています。そこで、娘にはアパートを生前贈与しますが、今後、借入金の返済は娘にしてもらいたいと考えています。

この手続きは、どのようにすれば良いのでしょうか?

また、生前贈与なので、アパートをもらった娘のほうに贈与税がかかると思います。
私の娘の場合、アパートの相続税評価額4,000万円から今後負担してもらう借入金2,500万円を差し引いた1,500万円に対して贈与税がかかると考えればいいのでしょうか?

 

【Answer】

不動産の贈与にあたって借入金も肩代わりしてもらうような取引のことを、負担付き贈与といいます。

まず手続きについてですが、負担付き贈与の場合、贈与そのものは親子間の契約で成立します。
しかし、銀行借入金の債務者をあなたから娘さんに変更するには、銀行の承諾がなければできません。銀行の承諾を得て(もちろん審査が入ります)、銀行と現債務者(あなた)・新債務者(娘さん)の三者間で『免責的債務引き受け契約』を締結するのが一般的な手続きです。
もちろん不動産の贈与ですから、贈与を原因とする所有権移転登記と債務者変更による抵当権変更登記を行います。

また、負担付き贈与は、税金の上でも格別の注意が必要です。
負担付き贈与では、贈与を受けた娘さん側に贈与税がかかるのはもちろん、贈与したあなたにも譲渡所得税・住民税がかかる可能性があります。

また、不動産の負担付き贈与では、贈与税の計算にあたって、原則として路線価等の相続税評価額を利用することができず、時価で評価することになっているので注意が必要です。特に賃貸不動産の場合は時価よりも相続税評価額がずっと低いので、時価評価は通常は不利ですから、なおさら気をつけなければいけません。

 娘さんは、時価5,000万円-負担する借入金2,500万円=2,500万円から贈与税を計算することになります。通常は相続時精算課税制度を利用することになるでしょう。

不動産の負担付き贈与は、税理士のアドバイスを受けながら、慎重に行うようにしてください。

 

【Reference】

負担付き贈与の特徴

負担付き贈与とは、財産の贈与にあたって受贈者(もらう人)になんらかの義務を負担させることが条件になっている契約のことを指します。

見ようによっては売買契約に似ていますが、贈与財産とそれにくっついてくる負担とが、特に関連していなくてもかまわない、という点が特徴的です。

一般の贈与契約と比べて、負担付き贈与契約の法律的な違いは、次の2点です。

(1)贈与者の責任が重くなる(民法551条2項)

一般の贈与では、贈与財産に多少難があっても、タダでもらう以上、受贈者は文句が言えません。
しかし、負担付き贈与の場合は、受贈者はタダでもらうわけではないので、贈与者には売買契約の売主と同じ責任(つまり契約解除や損害賠償)が課されるのです。ただし、贈与者に課される責任は、受贈者の負担が限度とされています。

(2)双務契約に関する規定が準用される(民法553条)

単純な贈与契約と異なり、負担付き贈与はギブ・アンド・テイクの関係にあります(このような契約を『双務契約』といいます。)。
そのため、たとえば受贈者が負担を履行しないならば、債務不履行として贈与者は契約を解除することができます。

 

負担付き贈与を受けた側に対する課税

まず、生前贈与を受けた受贈者に贈与税がかかるのは当然です。

負担付き贈与の場合、贈与財産の価額から『負担額』を差し引いた価額が、贈与税の課税対象になります(相続税基本通達21の2-4)。なお、贈与財産と負担の結びつきは、課税上は関係ありません。

通常、贈与税の計算では、時価よりも低い「相続税評価額(たとえば土地の路線価)」を使うということは広く知られています。

ところが、負担付きで贈与された財産が土地や借地権などである場合や、家屋や構築物などである場合には、国税庁の通達(平成元年3月29日直評5、直資2-204)によって、その贈与の時における通常の取引価額(つまり時価)に相当する金額から負担額を控除した価額によることになっています(例外もあります)。
これは、
不動産が高価だった昭和の末に、不動産の時価と相続税評価額の差を利用し、負担付き贈与によって贈与税逃れを図る手法が横行したため、税金逃れを防止するために取られた処置です。

これにより、ご相談の事例で娘さんの贈与税額を計算する場合には、相続税評価額4,000万円-負担する借入金2,500万円=1,500万円の価額が贈与税の対象になるのではなく、時価5,000万円-負担する借入金2,500万円=2,500万円から贈与税を計算することになります。

 

負担付き贈与をした側に対する課税

個人が個人に贈与した場合、それが通常の贈与であれば、課税されるのは受贈者(もらった人)だけで、贈与者(あげた人)に課税されることはありません。

しかし、借入金と抱き合わせで贈与するようなパターンの負担付き贈与は、通常の贈与と異なり、資産の移転と同時に贈与者の債務(借入金)も消滅するので、贈与者は債務の消滅という経済的利益を得ています。そこで、負担付き贈与の場合には、贈与した贈与者のほうにも税金がかかる可能性があります。

これもご相談の事例で説明すると、贈与者は不動産については確かに不動産を無償譲渡していますが、娘さんに2,500万円の債務を引き受けてもらうということは、2,500万円で売ったのと同じと評価されます。このような場合には「みなし譲渡所得課税」の対象となり(所得税法59条)、『譲渡益』(引き受けてもらう債務額>取得費等の場合、その差益)に対して譲渡所得税・住民税が課されることになり、確定申告が必要です。

もちろん、『譲渡損』となっているならば、これらの譲渡所得税・住民税はかかりません。受贈者の贈与税についての連帯納付義務が残るだけです。

 

負担の内容が「扶養」だったら?

贈与税の計算上、負担付き贈与だからといって、必ず負担額を差し引くことができるわけではありません。

ひとくちに『負担』といってもその内容は様々で、ご相談のケースのように借入金の肩代わりのケースもあれば、「死ぬまで世話をすること」というように、『扶養』が負担になっているケースもあります。

しかし、贈与税を計算する上で負担額を差し引くことができるのは、負担額が金額として確定できないと差し引きようがありません。ですから、このようなケースでは負担額を差し引くことはもちろんできません。また、そもそも親子間で扶養するのは法律上当然の義務ですから、これによって贈与税が減額されることはないとも言えます。

 

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2014年8月28日 | カテゴリー :

Q119 「死因贈与」と「遺贈」。生前に不動産登記できるのは?

【Question】

父が所有している土地について相談です。

父はS市に土地を所有しており、私は自分の事業のために、この土地を無償で借りています。

「生前に贈与するつもりはないが、相続の時に家族でもめないように『遺言』を書いてもかまわない」と、父は私に言ってくれます。しかし、確実に私のものになるように、できれば登記手続きをしたいのです。何か方法はありませんか。

 

【Answer】

遺言の中で、不動産を誰が相続するか定めていたり、遺贈したりする内容が書かれていたとしても、それを遺言者の存命中に、あらかじめ登記しておくことはできません
これらの内容は相続が発生しないと効力が確定しない(たとえば遺言はいつでも撤回できるほか、受け取る側が先に死亡する可能性もある)ため、生前に登記することが認められていないのです。

しかし、お父様との間で『死因贈与契約』を締結しておけば、始期付き所有権移転『仮』登記が可能になります。
これは、現段階では所有権を移さないものの、お父様にもしものことがあったときには所有権が移転するという仮の登記です(仮登記をするかしないかは自由です)。※注1

この仮登記をしておけば、たとえばお父様がこの不動産をあなたに知らせずに売却してしまうということは事実上困難になり、将来的にあなたのものになる確度が向上します。

 

なお、死因贈与契約においては、次の点にご注意ください。

(1)不動産を目的とする死因贈与契約の締結は、できるだけ公正証書で行う。 ※注2

(2)死因贈与契約の中で死因贈与契約執行者を定めておく。受贈者を執行者にしておくと良い

これらをしておかないと、相続発生後の登記手続き(本登記)において、贈与者の相続人全員の協力が必要(!!)になり、非常にやっかいです!

また、コストの問題もあります。

(3)死因贈与契約で不動産を取得した場合には、遺言による場合と異なり、受贈者が贈与者の相続人であっても不動産取得税がかかるほか、登記の際の登録免許税も高い(税率は固定資産税評価額の2%)。

 

※注1 この仮登記は基本的には贈与者と受贈者の共同で申請しますが、死因贈与契約を公正証書にしておくと登記の承諾条項が盛り込まれるため、受贈者が単独で登記申請可能になります(昭和54年7月19日民三4170)。

※注2 死因贈与契約書が公正証書ではなく私署証書である場合には、その効力発生時には贈与者が死亡しているため、契約が真正なものであるのか判明しません。そこで、このような死因贈与契約書を添付して死因贈与執行者によって所有権移転登記を申請する場合には、死因贈与者の印鑑証明書を添付する必要があり、それが無理ならばその相続人全員の印鑑証明書を付した承諾書を添付する扱いです(参考 登記研究486・21、566・131、566・132)。

 

 

【Reference】

死因贈与とは

自分の死後、財産をどうするかあらかじめ決めておく方法としては、遺言(遺贈等)という方法ががもっともポピュラーな方法です。
『遺言』は、相手の承諾を必要としないので、比較的自由に内容を決められる一方、財産を受け取る側に義務はなく、放棄の自由が認められている(Q108)等、拘束力は必ずしも強くありません。

同じような効果を発生させる方法として、死因贈与という方法もあります。
死因贈与は、贈与者の存命中に「私が死んだらこの財産をあげる」という約束だけをしておき、贈与者が死亡してはじめて効力が生じる贈与契約のことを言います。贈与者(あげる人)と受贈者(もらう人)との間で契約をするので、遺言に比べるとやや拘束力が強くなります。

 

死因贈与と遺贈の違い

死因贈与は遺贈とよく似ているため遺贈の規定が準用されます(民法554条)。
ただし、次の点を除きます

 

(1)契約の方式は、贈与者と受贈者が合意すれば自由(遺言の方式はとらない)

なお、死因贈与契約は、効力が生じた時点で当事者の片方(贈与者)が死亡しているという特性があるので、紛争防止のために公正証書にすることが多く、私たちも公正証書にするようにおすすめしておりますが、その場合でも遺言のように証人を立てる必要はありません。

(2)未成年者や行為能力制限者は、法定代理人の関与が必要

遺言は、満15歳で作成でき、行為能力が不十分でも作成できます(Q095)が、死因贈与は契約なので、法定代理人の関与が不可欠です。

(3)契約を遺言によって撤回できるが、制限がある

契約というものは相手方との約束なので、これを撤回・解除するには、普通は相手方の同意が必要になります。

しかし、死因贈与契約は遺言の規定を準用するとされているため、遺言の方式によって撤回することが認められています(民法544条が1022条・1023条を準用、昭和47年5月25日最高裁判決)。つまり、新しい遺言を書くことによって、既存の死因贈与契約を撤回することができてしまいます。

ただし、一定の場合には、撤回が認められないケースもあります。
たとえば、死因贈与契約に「親の面倒をみる」というような『条件』が付されていることがあります。このような契約を負担付き死因贈与契約というのですが、もらう側(受贈者)がこの条件をきちんと負担しているような場合には、贈与者が遺言によって一方的に契約を撤回することはできません( 昭和57年4月30日最高裁判決)。

条件だけ負担させておいて「あげないよ」というだまし討ちは認められないのです。

 

(参考)昭和47年5月25日最高裁判決より

「死因贈与については、遺言の取消に関する民法一〇二二条がその方式に関する部分を除いて準用されると解すべきである。けだし、死因贈与は贈与者の死亡によつて贈与の効力が生ずるものであるが、かかる贈与者の死後の財産に関する処分については、遺贈と同様、贈与者の最終意思を尊重し、これによつて決するのを相当とするからである。」

 

(参考)昭和57年4月30日最高裁判決より

「負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与契約に基づいて受贈者が約旨に従い負担の全部又はそれに類する程度の履行をした場合においては、贈与者の最終意思を尊重するの余り受贈者の利益を犠牲にすることは相当でないから、右贈与契約締結の動機、負担の価値と贈与財産の価値との相関関係、右契約上の利害関係者間の身分関係その他の生活関係等に照らし右負担の履行状況にもかかわらず負担付死因贈与契約の全部又は一部の取消をすることがやむをえないと認められる特段の事情がない限り、遺言の取消に関する民法一〇二二条、一〇二三条の各規定を準用するのは相当でないと解すべきである。」

 

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2014年8月25日 | カテゴリー :

Q118 会社に遺贈する場合、税金はどうなる?

【Question】

私は、自分が経営している会社に、工場用地を貸しています。

遺言で、この工場用地を会社に遺贈したいと考えていますが、どのような税負担が発生することになるのでしょうか。

 

【Answer】

遺言で会社や法人に財産を遺贈することについて、法律上の制限は何もありません。

ただし、次のような点に注意が必要です。

1)もらった会社・あげた人の両方に、課税される可能性があります。
さらに、同族会社の場合には、他の株主課税が発生することもあります。

2)不動産の名義変更があるので、登記申請時に登録免許税も課せられます。会社への遺贈の場合には、相続人への遺贈の場合と異なり軽減措置がないため、不動産を会社に遺贈した場合の登録免許税は、固定資産税評価額の2%となります。
さらに、不動産を相続人以外の第三者が遺贈によって取得する場合には、地方税として不動産取得税がかかります。
これらのコストは受遺者である会社の負担となりますので、注意が必要です。

3)税金とは別の話になりますが、遺留分を侵害するような遺贈は、受遺者と相続人との間で紛争化する危険があります。

このように、 会社に遺贈すると思わぬ税金がかかることがありますので、遺言作成の際にはくれぐれもご注意を。

 

【Reference】

個人から個人への遺贈の場合には、受遺者(もらった人)に相続税がかかります。

いっぽう、個人から会社・法人への遺贈の場合には、『相続税』こそかかりませんが、次のように課税のトリプルパンチを食らうおそれがあります。

もらった会社法人・・・・・・・法人税・住民税等(時価を益金算入)
あげた人・・・・・・・・・・・譲渡所得税(みなし譲渡所得課税)・住民税
同族会社の場合の他の株主・・・相続税

ただし、もらった法人が国税庁長官の承認を受けた公益法人等である場合には、あげた人に譲渡所得税はかかりません(租税特別措置法40条)。これは一般的には「寄付」と呼ばれます。

 

(1)もらった法人への課税

法人・法人が個人から遺贈を受けた場合、もらった会社・法人のほうでは、そのときの時価受贈益として収益に計上します(法人税法22条2項)。

そして、他の事業収益と通算して、法人税や住民税・事業税の対象になります。もっとも、法人税の繰越欠損金があるなら、受贈益が繰越欠損金以内の金額であれば、法人税は課税されずにすみます。

なお、遺贈の内容が不動産であるならば、もらった会社・法人は、不動産登記時の登録免許税や地方税である不動産取得税を負担しなければなりません。こちらは赤字会社でも必ず発生するコストです。

 

(2)あげた個人への課税

みなし譲渡所得課税』が適用されます。

個人が、土地や建物などの資産を会社・法人に遺贈した場合には、これらの資産は遺贈の効力発生時(相続開始時)の時価で譲渡があったものとみなされ、これらの資産の取得時から相続開始時までの値上がり益に対して所得税が課税されます(所得税法59条1項1号)。これに伴い住民税も課税されます。

もっとも、遺贈した当の本人は死亡していますから、納付の手続きは相続人がすることになります。
具体的には、相続人が被相続人の所得について準確定申告(相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内)を行い、申告期限までに譲渡所得税を納税します(所得税法124条)。この所得税は被相続人の債務となりますから、相続税の計算においては、被相続人の相続財産から控除することができます

譲渡所得税は他の所得とは区分して申告分離課税となり、長期譲渡所得の場合、所得税は15%、住民税は5%となります。

タダで財産をあげたのに税金も支払わなければならないとは、なんとも納得がいかない話ですが、これは法人を利用した税金逃れを防止するために、財産を移転するときには含み益の部分を精算するという税法上の考え方によるものなのです。

時価の2分の1未満の金額で譲渡した場合も同様に、みなし譲渡所得課税が行われます(所得税法59条1項2号、所得税法施行令169条)。

もちろん、みなし譲渡所得課税が適用されるのは『含み益がある財産』ですから、含み益がない財産(含み損がある資産や現金資産)には譲渡所得税はかかりません。

なお、、もらった法人が国税庁長官の承認を受けた公益法人等である場合には、あげた人に譲渡所得税はかかりません(租税特別措置法40条)。いわゆる「寄付」のことです。

 

(3)同族会社の場合、他の株主に課税される

同族会社とは、簡単にいえば、株式の大半を親族によって保有されている会社のことです。

ある株主が同族会社に資産を遺贈すると、株価が上がります。
すると、上がった株価の分だけ、同族会社の他の株主はトクをします。これは見方を変えれば、財産を同族会社にあげた人は、他の株主に対しても、上昇した株価の分だけ財産を遺贈したのと同じことです。

そこで、株価の上昇分に相当する金額について遺贈により取得したものとして、同族会社の他の株主に相続税がかかることがあるのです(相続税法9条、相続税基本通達9-2)。

 
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2014年8月19日 | カテゴリー :

お客様の声52 N様

お客様の声 N様

このたびはありがとうございました。貴事務所の対応には大変満足しています。
母が亡くなり、相続については極力自分自身でやろうと思いましたが、さすがに土地の名義変更は不可能と思い色々とNETで調べました。本当に価格も千差万別で、どこにお願いしていいものか悩みました。貴事務所にお願いして正解でした。メール・資料もわかりやすく、費用内容についても明確で納得のいくものでした。

N様、どうもありがとうございました。

お盆休みはございません

相続あんしん相談室(八潮・三郷相談室)のホームページをごらんいただき、どうもありがとうございます。

司法書士法人ひびきは、8月も通常通り営業しております。盆休みなどはございません。

なお、所員は交代で休暇を取るため、お客様への対応が遅れる可能性がございます。また、急ぎのご用件につきましても、対応致しかねることがあるかもしれません。どうぞご承知おきください。

なお、ホームページや記事の更新は、今週はお休みです。

 

まだまだ暑い日が続きます。皆さまどうぞご自愛ください。

 

8月16日(土)、専門家チームによる無料相談会開催(越谷)

2014年6月相談会

 

相続あんしん相談室(八潮・三郷相談室)のホームページにお越しいただきまして、どうもありがとうございます。

さて、下記のとおり、弁護士・税理士・社会保険労務士・土地家屋調査士・司法書士らの国家資格者による、

 第7回 相続・遺言無料相談会

を、埼玉県越谷市にて開催いたしますので、ご案内いたします。

日時:8月16日(土曜日)午前10時~12時
場所:越谷市中央市民会館5階

「『誰に相談したらいいのかわからない』を解消します」をモットーに、さまざまな国家資格者が、合同で皆様のご相談に応じる相談会ですので、遺産相続や相続対策に関するどのようなご質問にも、柔軟に対応できます。

ご予約は、南越谷法律事務所 048(940)0662 にお電話をいただくか(平日のみ)、または本相談室のメールフォームをご利用いただき、お問い合わせ欄に「越谷相談会参加希望」とご記入ください。

 

Q117 会社・法人に生前贈与するときの注意点は

【Question】

相続対策の一環として、私が創業した会社に、今のうちに事業用地を生前贈与しておきたいと考えています。どのような問題があるでしょうか。

 

【Answer】

贈与契約を締結して会社・法人に財産を生前贈与することは、法律上は可能です。

ただし、次のような点に注意が必要です。法人が贈与の当事者になる場合には、慎重のうえにも慎重を重ねる必要があります

1)もらった会社・あげた人の両方に、課税される可能性があります。
さらに、同族会社の場合には、他の株主課税が発生することもあります。

2)遺留分を侵害するような生前贈与は、相続発生後に紛争化する危険があります。

3)不動産の名義変更があるので、登記申請時に登録免許税も課せられます。軽減措置がないため、不動産を生前贈与した場合の登録免許税は、固定資産税評価額の2%であり、これはコストとしては大きいものです。また、不動産の贈与ですから不動産取得税もかかります。

 

 

【Reference】

個人から個人への生前贈与の場合には、受贈者(もらった人)に贈与税がかかります。

いっぽう、個人から会社・法人への生前贈与の場合には、『贈与税』こそかかりませんが、次のように課税のトリプルパンチを食らうおそれがあります。

もらった会社法人・・・・・・・法人税・住民税等(時価を益金算入)
あげた人・・・・・・・・・・・譲渡所得税(みなし譲渡所得課税)・住民税
同族会社の場合の他の株主・・・贈与税

ただし、もらった法人が国税庁長官の承認を受けた公益法人等である場合には、あげた人に譲渡所得税はかかりません(租税特別措置法40条)。これは一般的には「寄付」と呼ばれます。

 

(1)もらった法人への課税

法人が個人から生前贈与を受けた場合、もらった法人のほうでは、そのときの時価受贈益として収益に計上します(法人税法22条2項)。

そして、他の事業収益と通算して、法人税や住民税・事業税の対象になります。

 

(2)あげた個人への課税

みなし譲渡所得課税』が適用されます。

個人が、土地や建物などの資産を会社・法人に生前贈与した場合には、これらの資産は贈与時の時価で譲渡があったものとみなされ、これらの資産の取得時から贈与時までの値上がり益に対して所得税が課税されます(所得税法59条1項1号)。これに伴い住民税も課税されます。

他の所得とは区分して申告分離課税となり、長期譲渡所得の場合、所得税は15%、住民税は5%となります。

タダで財産をあげたのに税金も支払わなければならないとは、なんとも納得がいかない話ですが、これは法人を利用した税金逃れを防止するために、財産を移転するときには含み益の部分を精算するという税法上の考え方によるものなのです。

時価の2分の1未満の金額で譲渡した場合も同様に、みなし譲渡所得課税が行われます(同2号、所得税法施行令169条)。

もちろん、みなし譲渡所得課税が適用されるのは『含み益がある財産』ですから、含み益がない財産(含み損がある資産や現金資産)には譲渡所得税はかかりません。

なお、、もらった法人が国税庁長官の承認を受けた公益法人等である場合には、あげた人に譲渡所得税はかかりません(租税特別措置法40条)。いわゆる「寄付」のことです。

 

(3)同族会社の場合、他の株主に課税される

同族会社とは、簡単にいえば、株式の大半を親族によって保有されている会社のことです。

ある株主が同族会社に資産を生前贈与すると、株価が上がります。
すると、上がった株価の分だけ、同族会社の他の株主はトクをします。これは見方を変えれば、財産を同族会社にあげた人は、他の株主に対しても、上昇した株価の分だけ財産をあげたのと同じことです。

そこで、株価の上昇分に相当する金額について贈与により取得したものとして、同族会社の他の株主に贈与税がかかることがあるのです(相続税基本通達9-2)。

これに似たようなケースは、非常によくあります。
資産を会社・法人に贈与する場合だけではなく、会社・法人に対する貸付金を放棄(債権放棄)した場合や、増資を行う場合には、必ず株価が上下しますので、他の株主との関係で贈与税に注意する必要があります。

 

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2014年8月7日 | カテゴリー :

Q116 贈与税の税率は何パーセント?(暦年課税)

【Question】

生前贈与を受ける予定です。贈与税がかかると思いますが、税率は何パーセントですか?

 

【Answer】

相続時精算課税制度などの特例を利用しない場合には、基礎控除額:年110万円を超える贈与を受けた場合には、贈与税の申告をする義務があります(暦年課税制度)。

暦年課税制度による贈与税の申告をする場合、まず、 1年間に贈与によってもらい受けた財産の価格を合計します(課税価額)。
このとき、土地のように価格がわかりにくいものについては、通常は相続税評価額を利用して価格を出します。

課税価額から基礎控除110万円を差し引き、これに贈与税の速算表の税率を掛けあわせることによって贈与税額を求めることができます。
基本的に、贈与額が大きくなればなるほど税額が上がる『累進課税』です。

贈与税の速算表等、くわしくは下記をご覧ください。
なお、2015年1月以降の贈与については税制の改正があります

 

【Reference】

暦年課税制度による贈与の場合、課税価額を計算した上で速算表にあてはめれば計算することができます。

 

(1)課税価額を計算する

贈与を受けた年の1月1日から12月31日までの1年間に、贈与によってもらった財産の価額を合計します。これが課税価額です(千円未満切り捨て)。

複数の人から贈与によってもらった財産があれば、すべて合計する点に注意してください。
たとえば、父親から2月1日に200万円、さらに9月1日に200万円、母親から11月20日に300万円もらったならば、200万+200万+300万=700万円が課税価額となります。

なお、贈与によってもらった財産が金銭でない場合、相続税評価額で評価して課税価額を算出します。たとえば市街化区域の土地ならば路線価によります。

 

(2)贈与税額を計算する

課税価額を計算したならば、次に贈与税額の計算に移ります。

まず、基礎控除110万円をマイナスします(相続税法21条の5、租税特別措置法70条の2の3)。
1年間に複数の人から贈与を受けた場合でも、控除できる基礎控除額は贈与した人の人数に関わりなく110万円のみです。ご注意ください。
前記(1)の例では、700万円-110万円=590万円となります。

これを贈与税の速算表にあてはめます。
まず速算表の税率を掛けあわせ、速算表の控除額をマイナスすれば、贈与税額が計算できます(税額は百円未満切り捨て)。
計算式(贈与税)

贈与税の速算表は次のとおりです。ただし、2015年1月1日以後になされた贈与については、新しい速算表を使用してください。
贈与税速算表2014まで

 

贈与税2015から一般贈与税2015から直系尊属型

上記(1)の、700万円贈与を受けた事例で計算してみましょう。
まず、課税価額700万円から基礎控除額110万円を引くと、590万円。
これを上記の表にあてはめます。

2014.12.31まで
590万円×30%-65万円=112万円

2015.1.1から
a)原則
590万円×30%-65万円=112万円で変わらず。
b)20歳以上の者への直系尊属からの贈与の場合
590万円×20%-30万円=88万円

この例からわかることは、2015年からは、「20歳以上の者への直系尊属からの贈与」については、税額が下がるということです。
これは、消費することが少ない比較的ご年配の方から、消費することが多い現役世代に資産を移転することをうながし、経済を活性化させようという政府の狙いがあるためです。

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2014年8月5日 | カテゴリー :