Q029 遺産分割協議の前に、相続財産の不動産を売却したい

【Question】

父の遺産についての遺産分割協議は、これからです。
私は、父の面倒をみるために父の家で同居していたのですが、今後はこの家も必要がないので、早く売却してしまいたいと考えています。もちろん売却代金は兄弟で公平に分けるつもりです。
弟たちには相談しないで、父と同居していた私がこの家を売却しても、かまわないのでしょうか。

 

【Answer】

まず、遺言が無く、2人以上の相続人がいる場合には、相続人全員が相続財産を共有(共同所有)することになります。
ご尊父のお住まいについても、同居していたか同居していなかったかに関係なく、相続人全員の共有となりますので、相続人1人で売却することはできません。
お1人で売却するには、ごきょうだいでの遺産分割協議をすることが欠かせません。

もし売却をお急ぎならば、共有のまま共同で売却します。
この場合には不動産登記も、いったん相続人全員で共有名義にしてからでなければ、第三者に所有権を移転できない仕組みになっています。

なお、相続税が課税されるようなケースでは、被相続人の自宅の敷地については、相続開始前から同居していた親族は『小規模宅地の特例』によって一定面積まで80%の評価減を受けることができます。ただし、相続税の申告期限まで居住し所有を継続することが適用条件(配偶者を除く)となっていますので、申告期限前に転居・売却してしまうと、この特例を受けることができません。ご注意ください。

 

【Reference】

相続人が2人以上いる場合のことを共同相続といい、この場合には相続財産はいったん相続人全員の共有となり(民法898条)、遺産分割の手続きをしてようやく、最終的に個々の相続財産を各相続人の単独所有にすることができます。

 

共同相続した相続財産の変更行為・処分行為

遺産分割が終わるまでは相続財産は共有になるわけですが、共有財産について形や性質を変える行為をするには、他の共有者全員の同意を得なければ、することができません(民法251条)。

家を例にするならば、増改築のような変更行為や、売却取り壊し担保に入れるなどの処分行為をする場合(売却も、「お金に変える」という点で、性質を変える行為です)には、他の共有者全員の同意を必要とします。

裏を返せば、他の共有者が全員同意してくれれば、共有物の変更行為・処分行為をすることはできるわけですから、共有状態の相続財産も、相続人全員が同意すれば、売却したり壊してしまったりすることができます。
相続人が1人でこのような行為するには、遺産分割協議によって共有状態を解消するほかありません。
また、多数決で決めてもダメで、必ず相続人全員の同意が必要です。

 

相続税における『小規模宅地の特例』

相続や遺贈によって取得した、被相続人等の自宅や事業用建物・事業用構築物の敷地については、一定面積までの部分については財産評価額が安くなります。これは『小規模宅地等の特例』などと呼ばれ、評価額が80%減となる大きな特例です。

なぜこのような特例があるかといえば、自宅や事業用敷地にドカンと多額な相続税がかかると、そこに住み続けたり、そこで事業を継続したりすることが、できなくなってしまうからです。

ところが税制改正により、2010年(平成22年)4月1日以降に発生した相続については、相続開始前から同居している相続人等が相続税の申告期限まで居住・事業継続をし、かつ、継続所有しなければ、本特例の適用対象から除外されてしまいました。(ただし、配偶者に対しては継続居住・継続所有の条件はなく、すぐに売却しても特例を受けられます)

そのため、小規模宅地の特例を利用して相続税を抑える必要がある場合には、このような土地をあわてて売却してしまうと特例を受けられなくなってしまいますので注意が必要です。

小規模宅地の特例については、相続税のところであらためて触れます。

 

なお、相続財産を売却し、その売却代金を分割することを『換価分割』といいます。換価分割についてはQ037をご覧ください。

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Q028 兄弟姉妹が相続する場合で、腹違いの兄弟姉妹がいる場合の相続分

【Question】

相続人 兄弟姉妹姉が事故で急逝しました。
姉は結婚していたのですが、姉夫婦に子供がいないので、きょうだいである自分も相続人になります。
実は私達には腹違いの兄がいるので、相続人は3名になります。

この場合、姉の夫が4分の3、私と義理の兄が4分の1を半分に分けてそれぞれ8分の1の相続分になると考えるのでしょうか。

【Answer】

亡くなったお姉様のご主人が4分の3、という部分は、そのとおりです(法定相続分)。
しかし、父母の片方だけが同じ兄弟姉妹の相続分は、父母の両方が同じ兄弟姉妹の半分とされています。
そのため、正しくは以下のとおりになります。
・お姉様のご主人:4分の3 =12分の9
・義理のお兄様 :4分の1×3分の1=12分の1
・相談者ご自身 :4分の1×3分の2=12分の2

もちろん、遺言があって相続分が指定されていれば、それが優先します(遺言による相続分の指定)。

 

【Reference】

兄弟姉妹が相続人となる場合、父母のどちらか一方だけが同じである兄弟姉妹の相続分は、父母の両方とも同じ兄弟姉妹の半分となります(民法900条4項但書後)。

分数の計算がややこしいですが、次のように計算すれば簡単です。
1)分子:父母のどちらか一方だけが同じである兄弟姉妹は1、父母の両方とも同じ兄弟姉妹は2とする
2)分母:父母のどちらか一方だけが同じである兄弟姉妹は1、父母の両方とも同じ兄弟姉妹は2として、人数分、合計する
3)故人に配偶者がいる場合には、1)2)で出した分数に4分の1をかける(分母に4をかける)

例:父母のどちらか一方だけが同じである兄弟姉妹が2名、父母の両方とも同じ兄弟姉妹が3名の場合で、故人に配偶者がいる場合

分数の分母は、(1+1+2+2+2)×4=32

よって、
父母のどちらか一方だけが同じである兄弟姉妹の相続分:各32分の1
父母の両方とも同じ兄弟姉妹の相続分:各32分の2

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2013年11月25日 | カテゴリー :

Q027 代襲相続の場合、相続分はどうなる?

【Question】

代襲相続事例2

祖父が先日亡くなりました。
本来は相続人であるはずの私の父は、10年前に死亡しており、相続人は私のおばのほか、父の代襲相続人として兄と私がおり、合計3名です。

この場合の相続分は、次のどちらになるのでしょうか?
(1)おば・兄・私、各3分の1
(2)おば2分の1、兄と私が各4分の1

【Answer】

(2)が正解です。

ただし、遺言で相続分が指定されていれば、それが優先します(遺言による相続分の指定)。

 

【Reference】

代襲相続についてはこちらをご参照ください。

代襲相続人の相続分は、その人数に関係なく、代襲される相続人の相続分と同じです。
言い換えると、本来ならば相続人となるはずだった人が受けるはずであった相続分を代襲相続人がそのまま受け継ぎます。
代襲相続人が何人かいる場合には、代襲相続人どうしの割合は法定相続分によって決まります(民法901)

今となっては当たり前のような気がしますが、これは現在の民法では「被相続人の子は、代襲して相続人となる」とされているからなのです。
1962年(昭和37年)民法改正までは「被相続人の直系卑属は、相続人となる」となっていて、孫にも固有の相続権が認められていたため、ご相談のような事案では各3分の1で均等に相続分がありました。
海外の相続法では、こちらの考え方を採用している国も少なくありません。

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2013年11月23日 | カテゴリー :

Q026 法定相続分とは

【Question】

私たち夫婦には子供がいません。
夫に万一のことがあったら、すでに夫の両親は他界しておりますので、私と義理の弟が相続人になることまではわかります。
その場合、相続の割合は私と義理の弟とで半分ずつになるのでしょうか。

 

【Answer】

ご主人が遺言を書いていないならば、法律上の相続分(法定相続分)は、奥様が4分の3、義理の弟様が4分の1になります。
もっとも、実際に遺産を分割するときには、この法定相続分にしばられることなく、話し合いで自由に遺産を分割してかまいません。

 

【Reference】

相続人が何人かいる場合には、相続の発生(被相続人の死亡)によって、被相続人の財産を相続人全員が共有で相続します。
共有の相続財産を各相続人の単独所有にするには、相続人全員で『遺産分割協議』を行い、誰がどの財産を相続するか決めていかなければなりません。

遺言が残っていないならば、遺産分割協議を行うにあたって、遺産の中の何を誰にどのように配分するかは、話し合いで自由に決めることができます
誰か一人がすべての財産を承継し、他の相続人は何も相続しないと決めても問題ありません。

しかし、遺産分割は自由、といっても、「分け方に何か基準がほしい」という場合もあるでしょう。
そのような場合には、民法で定められている『法定相続分』を基準にします。

法定相続分

法定相続分

・法定相続人が誰になるかによって、法定相続分は左の図のように決まっています。

・同じ順位に相続人が2人以上いる場合には、その人数で等分します。
(例)妻と子3人の場合
→ 妻は1/2 子は1/2×1/3=1/6

・兄弟姉妹が相続人となる場合、父母の片方だけが同じ兄弟姉妹の相続分は、父母の両方が同じ兄弟姉妹の2分の1になります。

・遺言がある場合には、そこに記載されている相続分の指定、あるいは遺産分割方法の指定が優先します。

 

法定相続分が活用される場面

1)遺産分割調停などの裁判手続き

遺産分割協議がまとまらず、家庭裁判所で遺産分割調停の手続きをした場合には、この法定相続分を基準として調停手続きが進められることになります。

もしも相続人が譲歩せず、調停がととのわなければ、審判分割になります。
現物を分割をすることもできず、代償分割(特定の相続人が財産を受け継ぎ、代わりにその相続人自身の財産を他の相続人に配分すること)をすることもできなければ、共有状態の相続財産を売却するように中間審判が下され、売却後に、その売却代金を”相続分に応じて”分割しなさいという最終審判が下されます(換価分割の審判)。

 

2)相続人の中に未成年者や成年被後見人等がいる場合

相続人の中に未成年者や成年被後見人などがいる場合には、法律上、これらの人たちは自分で遺産分割に参加することができません。

このような人たちが参加する遺産分割協議には、その法定代理人(親権者や成年後見人、特別代理人など)が代理して参加することになりますが、意思を表示することができない本人の権利を擁護する義務がありますので、その法定相続分を確保しなければなりません。
代理人が、勝手に本人の相続分をゼロにしてしまうような遺産分割を成立させてしまってはいけないのです。

 

3)債務・負債の場合

相続財産の中に、借金や保証債務などのマイナスの財産がある場合には、たとえば相続人の一人が全ての債務を承継するような遺産分割協議を成立させたとしても、その内容を債権者に主張することはできません。

このような債務・負債は、各相続人の”法定相続分に応じて”分割して承継されるものとされているので、このような協議内容を債権者に認めてもらうには、債権者の承諾が必要になります。

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2013年11月20日 | カテゴリー :

Q025 遺言に書いてはいけないこととは?

【Question】

自筆で遺言を書こうと考えていますが、遺言書に書いてはいけないことはありますか?

 

【Answer】

遺言の内容は基本的に自由にです。
法律に決められている『遺言事項』以外のことでを書いてもかまわないのですが、遺言事項以外のことを書いても法的な効力はありません。
もっとも、内容によっては、相続人が意思をくみとって実現に向けて努力してくれるかもしれませんから、希望があれば書き遺しておくと良いでしょう。

もちろん、遺言は法律に基づいて作成する文書ですから、法律や公序良俗に反する内容は無効になります。
また、トラブルを起こす引き金になりそうな内容や表現は、絶対につつしむべきです。

 

【Reference】

遺言に書くことが法律上認められている事項以外のことを書いても、法的な効力はなく、相続人や第三者がそのような遺言に拘束されることはありません。
たとえば「株式全部をAに相続させる」という内容の遺言は有効ですが、「その株式を売却して家をリフォームしてください」と書いても、相続人がそれに縛られることはありません。

とは言え、そのような希望も、書いておくことによってかなえられる可能性がありますから、まったく無駄というわけではありません。希望したいことがあれば、遠慮なく書いてみるのも一つの方法です。

 

ただし、遺言を書く場合には、次のような内容や表現は避けるべきです。

1)法律や公序良俗に反するもの
このような内容はそもそも法律で禁止されており、遺言の記載事項としても無効となります。

2)相続人等やその家族・親族に対する誹謗中傷
このような人々への誹謗中傷(悪口・罵言)は、トラブルの原因となりますので避けるべきです。立つ鳥跡を濁さず、です。
ただし、遺言で相続人を廃除する場合には、廃除事由について詳しく記載しておくべきですが、こちらは誹謗中傷とは別の問題です。

3)日頃の言行と一致しない内容
常日頃から「この土地は長男のお前に継がせる」と言っていたのに、いざ遺言書を開封してみたら「次男に相続させる」「孫に遺贈する」などと書かれていれば、当然、相続人の間に混乱を招きます。
「他にも遺言があるのではないか」「遺言書そのものが無理やり書かされたものなのではないか」など、大きな紛争につながる危険をはらんでいます。このような遺言は現実に結構あるのですが、遺言を書く際には特に注意してください。

4) 後継ぎ遺贈
「財産をXに遺贈する。X亡きあとはYに遺贈する」というように、財産をもらいうけた人がさらに亡くなった後に受け継ぐ人まで遺言で決めておくことを『後継ぎ遺贈』といいます。

このような後継ぎ遺贈は、上記の例では前半のXに対する遺贈の部分は有効ですが、後半のXからYに対する遺贈の部分は原則として無効と考えられています。Xの財産処分の自由を侵害することになるからです。

このような後継ぎ遺贈を実質的に可能にするには、『信託』という仕組みを活用する必要があります(後継ぎ遺贈型受益者連続信託)。これについては、いずれ別の機会に触れることにし、ここでは深く立ち入りません。

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2013年11月19日 | カテゴリー :

Q024 遺言に書くことができる内容とは?

【Question】

遺言は法律で形式が決まっていると聞きましたが、どのような内容を書くことができるのでしょう?家族への気持ちのようなことを書いてはいけないのですか?

 

【Answer】

遺言の内容は基本的に自由にですが、相手方の承諾を必要としないために、書くことができる内容は自然と法律によって認められたものに限られてきます

もっとも、法律に定められたものではないことを記載しても遺言自体が無効になるということはありません。たとえば「私の亡きあとも兄弟仲良く暮らしてください」と書いてもかまいません。これを『付言事項(ふげんじこう)』といいます。
当事務所では、遺言を作成される方には必ず付言事項を加えることをお勧めしています

なお、遺言に書くことで法律上の効力を生じさせることができる事項(遺言事項)は、次のとおりです。
単なる法律用語の羅列ですし、中には理解が難しいものもありますが、気にしないでください。

第1 遺言でしかできない行為
(1)相続分の指定・指定の委託(民法902条)
(2)遺産分割方法の指定、指定の委託(民法908条)
(3)遺産分割の禁止(同)
(4)遺産分割における共同相続人間の担保責任の定め(民法914条)
(5)遺言執行者の指定・指定の委託(民法1006条1項)
(6)複数の遺贈がある場合の、遺贈の減殺割合の指定(民法1034条但書)
(7)未成年者の後見人・後見監督人の指定(民法839条,848条)

第2 遺言によっても生前行為によっても、どちらでもできる行為
(1)遺贈  (民法964条。ただし、生前行為の場合は”贈与契約”となり、相手方の承諾が必要)
(2)財団法人設立のための寄付行為(民法41条2項)
(3)信託の設定(信託法3条2号)
(4)認知(民法781条2項)
(5)推定相続人の廃除・廃除の取消し(民法893条,894条2項)
(6)特別受益の持戻しの免除(民法903条3項)
(7)祖先の祭祀主宰者の指定(民法897条1項)
(8)生命保険金受取人の指定・変更(保険法44条)

 

【Reference】

上記の『遺言事項』は法律用語の羅列ですし、中にはほとんど利用されることがない事項もあります。
ここでは、重要なポイントだけを少し説明します。

 

・遺言に書く『財産の分け方』は、基本的に2つの方法がある

相続人に対して遺言で財産の分け方を指定するには、基本的に2つの方法があり、どちらの方法も必ず遺言で指定しなければいけません。

1つは、法定相続分と違った割合で、相続の割合を定める方法で、これが民法902条の”相続分の指定”です。
たとえば、長女に3分の2、次女に3分の1を相続させるというようなものです。
具体的な財産については指定していませんから、指定された相続分に基づいて遺産分割協議を行う必要があります。

もう1つは、ある程度財産を特定して財産の分け方を指定する方法で、これが民法908条の”遺産分割方法の指定”です。
遺産の目録を作ってそれぞれの取得者を指定する厳格なやり方もあれば、「預金は全部、妻に相続させる」というような、内容が不明確でない程度ならば大まかな指定でもかまいません。
「家と田畑は長男に、その他の財産は長女に」という指定も有効です。

 

・『遺贈』にも、2つのやり方がある

遺言で、相続人ではない人や団体に財産を与えると書けば、それは『遺贈』になります。遺贈にも2つの方法があります。

1つは、「Aさんに遺産の2分の1(あるいは全部とか3分の1とか)を遺贈する」というように、割合で定めて一括して与える方法で、これを”包括遺贈”といいます。
包括遺贈を受けた人(包括受贈者)は、相続人と同じ権利義務を負い、他の相続人とともに遺産分割に参加し、遺言で定められた自己の割合を主張することになります。もめることが当然に予想されますので、他に相続人がいる場合にはあまり利用されません。
また、遺言者に借金などのマイナスの財産があれば、包括受遺者も遺贈の割合に従ってこれを負担しなければなりません。

もう1つは、「Bさんにどこそこの家屋を遺贈する」というように具体的な財産を指定して遺贈する方法で、これを”特定遺贈”といいます。

なお、”相続人に対する遺贈”も間違いではありません。遺贈は、相続人ではない人に対しても相続人に対しても行うことができます。
もっとも、相続人に対して特定遺贈をした場合には、実質的には民法908条の遺産分割方法の指定として扱われます(ただし、不動産登記の手続きは遺贈の方式による)。

 

・付言事項はとても大切!

『遺言書』そのものは、遺産の配分をあなた自身で決めるための法律文書ですので、どちらかというと堅苦しい文書です。
しかし、内容や形式が法律上有効な遺言であれば、財産に関すること以外の内容を盛り込むことができます。これを『付言事項(ふげんじこう)』といいます。

たとえば、
・家族への気持ちや感謝の言葉
・遺言書を書いた理由や、財産配分の理由
・財産以外のことについて、頼んでおきたいこと
このような内容を盛り込んでおくことで、遺言者の想いを残された方々に伝えることができます。

想いが込められた付言事項があれば、残された方もきっと遺言者の気持ちを真摯に受け止めることでしょう。
財産の配分に不満があっても理解してくれる可能性がずっと高まり、それがひいては円満な相続を実現することになるのです。

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2013年11月17日 | カテゴリー :

Q023 遺言のメリットとデメリットは?

【Question】

定年退職した会社のOB会に出席したときに、同期の友人が「遺言書を作ったので、とても安心しているよ」と話していました。遺言書を作ることにはどのような意味があるのですか?

 

【Answer】

『遺言』は、いつやってくるかわからない自分の万一のときに備えて、財産の分け方や認知などの身分事項について自分の希望が実現できるように、民法の決まりにしたがって作成しておくものです。

自分の心情を書き記しておく”遺書”とはちがい、遺言に書き記したことが法律的に有効になって、遺族や第三者が遺言書の内容に拘束されます。

具体的には、次のようなメリットがあります。
1) 家族の実情にふさわしい財産の配分ができる
2) お世話になった人や団体に、財産を分け与えることができる
3) 残された家族・親族の手続き上の負担を軽くすることができる

ただし、遺言は法律上の形式に従って適切に作成しなければ、かえってデメリットを生み出すこともあります。
たとえば、
1) 遺言の記載があいまいだったことが原因で、かえって争いの元になってしまうことがあります。
2) 法律の決まりに従って書かれていないと、希望どおりにならないことがあります。
3) いくら自分の希望が優先するといっても、あまりに実情を無視した内容では大きな紛争を引き起こします。

なお、余計なことかもしれませんが、法律家は『遺言』を『いごん』、『遺言書』を『いごんしょ』と呼びます。一般の方は『ゆいごん』『ゆいごんしょ』と呼ばれることが多いと思いますが、もちろん決して間違いではありません。ちなみに筆者は、専門用語が大キライなので、一般の方と同じく『ゆいごん』『ゆいごんしょ』と呼んでいます。

 

【Reference】

遺言を書いておくことの利点を、もう少しくわしく見てみましょう。

 

・家族の実情にふさわしい財産の配分ができる

「自宅は妻に残して生活の場を確保しておきたい」
「経営している会社の株式は、後継者である長男にすべて与えたい」
「介護に尽くしてくれた長女に財産を多く残したい」
「障がいのある子には、生活できるだけの資産を残したい」

このような希望を実現するための方法の1つが、『遺言』です。

万一のことがあったとき、故人が遺言をのこしていなければ、遺産は法定相続人全員による話し合いで、だれがどのように引き継ぐかを決めます。これが『遺産分割協議』です。
遺産分割協議には、すでに天国にいる故人が口をはさむことは、もちろんできません。

遺言をのこしておけば、基本的には遺言の記載内容が優先され、遺言の内容によっては遺産分割協議そのものが省略されることになり、遺言を作った人の希望が達成されるのです。

また、遺産分割協議がまとまらなければ、家庭裁判所での調停・審判となり、家族の間で骨肉の争いになることもあります。
適切な遺言書を残して財産の分割方法を指定しておけば、このような相続争いを防いで円満な家族関係を保つことができるという効用もあります。

 

・お世話になった人や団体に、財産を分け与えることができる

「苦労して世話をしてくれた息子の嫁にも財産をのこしたい」
「内縁の妻にも遺産を渡したい」

遺言がなければ、故人の財産はすべて相続人が承継することになりますが、遺言があれば、遺言者の意思にもとづいて相続人ではない人に財産を残す(遺贈)ことができます。
遺贈の場合は、生前贈与に比べて税負担などのコストが大幅に少なくなることもメリットになります。

また、団体に対して財産を残すことも可能ですので、「遺産を寄付して世の中に役立てたい」という希望もかなえることができます(ただしもらった法人には法人税、あげた遺贈者にはみなし譲渡所得課税の問題があります)。

 

・相続人の負担を軽減できる

相続手続きを経験されたことがある方でしたら、遺産分割とは大変面倒で、相当な量の事務作業を必要とするものであると痛感されたのではないでしょうか。

遺産を分割するには、まず前提として故人の遺産を調査してまとめ、故人の出生から死亡までの戸籍謄本を揃えて相続人を確定するという作業を行う必要があります。遺産分割協議が成立するまでの間、故人の銀行口座は凍結され、自由に引き出すこともできません。

ところが、法的に間違いのない遺言書があれば、相続人が行うこのような作業を大幅に軽減することができます(公正証書遺言の場合)。
たとえば戸籍謄本については、故人の死亡記載のある最終の戸籍謄本と、実際に財産を引き継ぐ相続人の方の戸籍謄本があれば足り、預金口座についてもすぐに凍結を解除することが可能になります。

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2013年11月16日 | カテゴリー :

Q022 借家権は相続されるか(公営住宅の場合)

【Question】

私は、夫の名前で借りた市営住宅に夫婦2人で25年にわたって居住していましたが、その夫が先日亡くなりました。
残された私も高齢なので今のまま住み続けたいのですが、立ち退きを求められるようなことはないのでしょうか。

 

【Answer】

市営住宅などの公営住宅法にもとづいて建てられている公営住宅については、入居者(借主)がお亡くなりになった場合には相続の対象にならず、その相続人が同じ住宅を使用する権利を当然に承継することはできません。
しかし、入居者がお亡くなりになった時に1年以上同居していた方は、収入条件をオーバーしていたり不正入居や家賃の滞納のような明け渡し事由に該当していない限り、事業主体の承認を受ければ引き続き住み続けることができるようになっています。
あなたの場合は、まず大丈夫ですよ。

 

【Reference】

公営住宅は、住宅に困っている所得の少ない方を対象として、安い賃料で住宅を提供することによって国民生活の安定と社会福祉の増進をはかることを目的とするもので、公営住宅法という法律や自治体の条例に規定があります。
(自治体の中には、比較的収入が高い層に賃貸住宅を提供しているところがありますが、こちらはここでいう『公営住宅』とは別物です)

公営住宅の入居者は法令によって決まっています。
そのため、入居者がお亡くなりになった場合には、公営住宅の使用権は被相続人の一身に専属するものと考えられ、相続の対象になりません(平成2年10月18日最高裁判決)。そのかわり、一定の条件を満たし、事業主体の承認を受ければ、住み続けることができるしくみになっています。

その一定の条件とは、次のすべての条件をクリアすることです(公営住宅法施行規則11条を簡単にしました)。

1)入居者との同居期間が1年以上あること
2)収入が一定の金額を超えないこと
3)不正入居でないこと
4)家賃を3ヶ月以上滞納していないこと
5)住宅や施設を故意に破壊していないこと
6)公営住宅法27条の義務(無断転貸の禁止など)や条例違反がないこと

なお、病気などの特別な事情があれば、これらの条件を満たしていない場合でも承認されることがあるようです(施行規則10条2項)。

 

-参考判例-
平成2年10月18日最高裁判所第一小法廷判決
「公営住宅法は 、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で住宅を賃貸することにより 、 国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とするものであって ( 一条) 、 そのために、 公営住宅の入居者を一定の条件を具備するものに限定し( 一七条) 、 政令の定める選考基準に従い 、 条例で定めるところにより、 公正な方法で選考して 、入居者を決定しなければならないものとした上( 一八条 ) 、 さらに入居者の収入が政令で定める基準を超えることになった場合には 、 その入居年数に応じて 、 入居者については 、当該公営住宅を明け渡すように努めなければならない旨 ( 二一条の二第一項) 、事業主体の長については 、 当該公営住宅の明渡しを請求することができる旨 ( 二一条の三第一項 )を規定しているのである 。 以上のような公営住宅法の規定の趣旨にかんがみれば 、入居者が死亡した場合には、 その相続人が公営住宅を使用する権利を当然に承継すると解する余地はないというべきである。」

 

-参考条文-
・公営住宅法27条6項
公営住宅の入居者が死亡し、又は退去した場合において、その死亡時又は退去時に当該入居者と同居していた者は、国土交通省令で定めるところにより、事業主体の承認を受けて、引き続き、当該公営住宅に居住することができる。

・公営住宅法施行規則11条
事業主体は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、法第27条第6項 の規定による承認をしてはならない。

一  当該承認を受けようとする者が入居者と同居していた期間が一年に満たない場合(当該承認を受けようとする者が当該入居者の入居時から引き続き同居している親族(婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者その他婚姻の予約者を含む。)である場合を除く。)
二  当該承認を受けようとする者に係る当該承認の後における収入が令第9条第1項 に規定する金額を超える場合
三  当該入居者が法第32条第1項第1号 から第1号 までのいずれかに該当する者であつた場合
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Q021 借家権は相続されるか(民間アパートの場合)

【Question】

母が亡くなりました。相続人は兄と私の2人です。
私は母の名義で借りた民間アパートに、母と2人で同居していました。
できればこのまま今のアパートに住み続けたいのですが、再契約しないと住み続けられないのでしょうか?

 

【Answer】

亡くなられたお母様が借りていたのは民間アパートですから、相続人が賃貸借契約の借主の地位を相続しますので、今までどおり住み続けることができます。
住み続けるにあたって、家主さんや管理会社の承諾は必要ありません。
 家主さんから『再契約』『契約の更新』『名義変更』などの名目で金銭の支払いを求められても、それに応じる必要はありません。ただし必要な届出は済ませておきましょう。

 

【Reference】

民間アパートの場合、アパートを借りる代わりに家主さんに賃料を支払っているので、『賃貸借契約』の借主の地位を相続できるかどうかという点がポイントになります。
もしも家賃の支払いがないか、または家賃が非常に低額な場合には、『使用貸借契約』の問題となり、結論が逆転します。

賃貸借契約の場合

家賃を支払う代わりに一般のアパートを借りる場合、賃貸人(家主)と賃借人との間で賃貸借契約を締結します。

相続が発生すると、相続人は、被相続人の一身に専属する権利を除いて被相続人の権利義務いっさいをそのまま承継します。
アパートを借りる権利(=借家権)も被相続人の財産であり相続の対象となりますので、何ら手続きをしなくても相続人が承継します。
アパートの使用目的が居住用でも事業用でも同じです。

相続人は被相続人の権利義務いっさいをそのまま承継しますので、借家権を第三者に譲渡・転貸するわけではありませんから、家主さんの承諾は必要ありません。

遺産分割が終わるまでの間は、借家権は相続人の間で共有(準共有)することになり、相続人全員が相続分に応じてアパートを使用する権利がありますので、ご相談者はお住まいのアパートに住み続けることが可能です。 もちろん遺産分割が成立すれば、借家権を相続した相続人が単独でアパートを使用することができます。

よくある話として、借家の相続人に対し家主さんから再契約を求められたり、『名義変更料』『更新料』などの名目で金銭を請求されたりすることがあります。 これは法律的にはまったく根拠がありませんので、請求に応じる必要はありません。応じなくても違法ではありません。

もちろん、家賃はきちんと払わなければ家主さんから契約を解除され、アパートを明け渡さなければなくなってしまいます。 遺産分割協議が成立するまでは相続人各自が賃料全額を支払う義務があります。

なお、家賃を払っているといっても、その家賃が非常に低額で固定資産税に相当する額・建物維持費の程度であれば、それは後で解説する『使用貸借契約』と考えられ、結論は正反対になります。 使用貸借による借主は借用物の通常の必要費を負担するものとされており(民法595条1項)、その場合にはアパートについて固定資産税に相当する額程度は借主が負担するのが通常であるからです。 これは名目ではなく実質で判断しますので、家賃として払っているけれどもその額が固定資産税の額程度ならば、それは賃貸借ではなく使用貸借として扱われます。

使用貸借契約の場合

親族から住居を借りているような場合では、賃料を支払っていなかったり、支払っていてもごくわずかであったりするケースがあります。このようにほとんど無償で借りているような場合の契約を『使用貸借契約』といいます。

使用貸借契約は、貸主と借主の特別な関係によって成立する契約ですので、借主の一身に専属ずる権利と考えられており、相続の対象となりません。借主の死亡によって当然に契約が終了してしまいます。

まずは家主さんに今までどおり使用貸借させてもらえるよう交渉し、それが受け入れられなければ賃貸借契約に切り替えてもらうか、または転居先が決まるまで待ってもらうようにお願いするしかありません。

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Q020 借地は相続できるか

【Question】

先月、夫が亡くなりました。相続人は妻である私・長男・長女の3人です。
夫の遺産は自宅の建物だけで、土地は借地です。
この家に済んでいるのは私一人だけですが、私は今までどおりこの家に住むことはできますか。

 

【Answer】

まず、借地が『賃貸借契約』の場合(相応の地代を払っている場合)には、今までどおり住み続けることができます。
地主さんの承諾は必要ありません。

注意点としては、借地が賃貸借契約の場合には借地権にも財産的価値があり、その価値が高いこともありますので、遺産分割で問題になることがあるという点です。
遺産分割が終わったら、建物について相続登記(名義変更)をします。賃借権も登記されている場合には登記が必要です。

もしも、借地が『使用貸借契約』の場合(地代を払っていない場合)には、地主さんから建物の撤去・土地の明け渡しを要求されるかもしれません。
使用貸借契約では地主さんから明け渡しを請求されたら住み続けることはできませんが、交渉の余地はあるかもしれません。

なお、賃貸借契約でも、地代が非常に低く固定資産税の額程度の場合には、実質的には使用貸借契約と言えますので、明け渡しに応じなければならないこともあります。

 

【Reference】

借地の借主が亡くなった場合には、地主さんに対する地代の有無によって結論がまったく異なります。

賃貸借契約の場合

相続人は、被相続人の一身に専属する権利を除き、被相続人の権利義務いっさいをそのまま承継します。
借地権(賃借権・地上権)も被相続人の財産であり相続の対象となりますので、何ら手続きをしなくても相続人が承継します。
借地の使用目的が居住用でも事業用でも同じです。

相続人は被相続人の権利義務いっさいをそのまま承継しますので、借地権を第三者に譲渡するわけではありませんから、地主さんの承諾は必要ありません

遺産分割が終わるまでの間は、借地権は相続人の間で共有(準共有)することになり、相続人全員が相続分に応じて借地を使用する権利がありますので、ご相談者は自宅に住み続けることが可能です。
もちろん遺産分割が成立すれば、借地権を相続した相続人が単独で借地を使用することができます。

よくある話として、借地の相続人に対し地主さんから『名義変更料』『更新料』などの名目で金銭を請求されることがあります。
これは法律的にはまったく根拠がありませんので、請求に応じる必要はありません。応じなくても違法ではありません。

もちろん、地代はきちんと払わなければ地主さんから契約を解除され、土地を明け渡さなければなくなってしまいます。
遺産分割協議が成立するまでは相続人各自が賃料全額を支払う義務があります。

なお、地代を払っているといっても、その地代が非常に低額で固定資産税の額程度であれば、それは後で解説する『使用貸借契約』と考えられ、結論は正反対になります。
使用貸借による借主は借用物の通常の必要費を負担するものとされており(民法595条1項)、その土地の固定資産税は借主が負担するのが通常であるからです。 これは名目ではなく実質で判断しますので、地代として払っているけれどもその額が固定資産税の額程度ならばそれは賃貸借ではなく使用貸借として扱われます。

借地権の遺産分割

注意点としては、借地上の建物が古くほとんど価値がない場合でも、借地権は意外と財産的価値が高いという点です。
借地権の価額は、土地の更地価額の50~70%で評価されるため、遺産分割の際に問題になることがあるのです。

ご相談者のように借地上の建物を利用したい相続人がいる場合で、相続人全員による遺産分割がすんなりとまとまらなければ、次のような方法で遺産分割協議を成立させていくことが考えられます。

1)建物と借地権の現物を取得する相続人が、代わりに法定相続分を超える部分の価額に相当する金銭を他の相続人に支払う(代償分割)

2)地主さんや第三者に建物と借地権を買い取ってもらって、その代金を相続人で分ける(換価分割)

使用貸借契約の場合

土地を無償で借りているような場合を『使用貸借契約』といいます。

使用貸借契約は、貸主と借主の特別な関係によって成立する契約ですので、借主の一身に専属ずる権利と考えられており、相続の対象となりません。借主の死亡によって当然に契約が終了してしまいます。

そのため、地主さんから明け渡しを請求された場合には、それに応じなければならなくなります。 しかも、地主さんは借主に対して建物を解体した上での土地明け渡しを請求できますので、相続人が解体費用を負担しなければならなくなります。

そのため、まずは地主さんに今までどおり使用貸借させてもらえるよう交渉し、それが受け入れられなければ賃貸借契約に切り替えてもらうか、または転居する代わりに建物解体費用を負担してもらうかを交渉していくことになるでしょう。

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