Q003 相続人の範囲を知りたい(法定相続人とは)

Q 相続人になるのはどのような人ですか?

A 『相続』とは、持ち主が他界した財産について、新しい持ち主を決めていく手続きです。 まず、他界した人のことを『被相続人(ひそうぞくにん)』といいます。

被相続人の遺産を引き継ぐことができるのは、民法という法律によって被相続人の一定の親族と決められています。 この被相続人の遺産を引き継ぐ方を『相続人(そうぞくにん)』といいます。 民法で決められているので『法定相続人』と呼ばれることもあります。

遺産は、遺言書があるなどの特別な事情がない限り、相続人の全員が合意してはじめて相続人の間でわけることができます。 この財産分けのための話し合いのことを、『遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)』といいます。
そのため、遺産分割協議をするにあたっては、まず、誰が相続人なのかを確定することがポイントです。

配偶者は必ず相続人になる

被相続人のお連れ合いのことを『配偶者』といいますが、相続の場合には、配偶者は必ず相続人になります。

ただし、入籍していることが条件になりますので、次のような方は相続人ではありません。
事実婚・内縁関係
離婚した元配偶者
遺族年金は事実婚の場合でも受給できる場合がありますが、遺産相続の場合には入籍していない限り、法律上の相続人ではなく、相続権はありません。 内縁の妻が遺産を受け取るには、遺言書による遺贈(いぞう)または死因贈与契約が必要です。

 

被相続人に子がいる場合

次に、被相続人に子がいる場合には、その子全員が相続人になります。
胎児も、無事誕生することを条件として、相続人にあたります。
配偶者と子がいる場合は、配偶者も子もそれぞれ相続人になります。
相続人 配偶者と子

 

血のつながりのある子供であれば、必ず相続人になります。
そのため、被相続人が再婚している場合、先妻の子も後妻の子も、どちらも相続人にあたります。
他家に養子に出た子も、血のつながりがある以上、相続人のままです(特別養子を除く)。
配偶者の連れ子は血のつながりがないので、養子縁組をしない限り相続人にはなりません。
相続人 先妻の子がいる

 

民法上、「養子」は実子と同じですので、やはり相続人です。
配偶者の連れ子も、養子縁組をすれば相続人となります。
法定相続人 養子と実子

 

また、婚外子(こんがいし)、つまり認知した子供であっても、相続人であることに変わりはありません。
相続人 婚外子 認知した子がいる

 

なお、子の中に、先に亡くなっている子がいる場合には、さらにその子(つまり孫)が第1順位の相続人に繰り上がります。 これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)といいます。 その孫もなくなっていれば、ひ孫がやはり代襲相続します(再代襲)。
代襲相続については、別の記事で詳しく説明します。

 

被相続人に子がいない場合

被相続人に子がいない場合、被相続人の父母が相続人になります。
被相続人に配偶者がいる場合は、被相続人の父母と被相続人の配偶者が共同で相続人となります。
法定相続 父母 直系尊属

被相続人に子がいたとしても、その子全員が家庭裁判所で相続放棄申述(そうぞくほうきしんじゅつ)をすれば、子がいないのと同じことになりますので、第2順位の相続人として、被相続人の父母が相続人となることもあります。

まれなケースとして、すでに父母が亡くなっていても、祖父母がご健在ならば、祖父母が相続人になります。 被相続人が養子となって養子縁組をしている場合には、その養父・養母も、実父・実母と並んで、相続人にあたります。

 

被相続人に子も父母もいない場合

被相続人に子も父母もない、あるいは子も父母も全員が家庭裁判所で相続放棄申述をしたような場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。

ここでいう兄弟姉妹には、父母を双方を同じくする兄弟姉妹だけでなく、父母の一方だけが同じ兄弟姉妹(つまり、腹違いの兄弟姉妹)も含まれます。

相続人 兄弟姉妹

 

もしも兄弟姉妹の中で、被相続人より先に死亡しているならば、その子(つまり、被相続人からみると、おい・めい)が代襲相続人になります。
ただし、ひ孫のケースと違って、再代襲の制度はありませんので、おい・めいの子に代襲相続権はありません。
代襲相続については、別の記事で詳しく説明します。

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2013年9月25日 | カテゴリー :