Q030 遺産を分けるにはどうすればいいか

【Question】

3ヶ月前に父が亡くなりました。相続人全員で父の遺産を分けたいと思いますが、どのような手順で進めればいいのでしょうか?

 

【Answer】

亡くなられたお父様の遺言があるかどうかによって、手続きが違います。
遺言が無ければ、戸籍謄本によって誰が相続するかを確定し、遺産の内容を特定したうえで、相続人全員の話し合いによって遺産を分けます。

 

【Reference】

まず、次の場合には相続人間で話し合うことを省略して遺産を分けることができます。

法的に有効な遺言書があって、遺言書の中で誰がどの財産を引き継ぐのかが決まっている場合

この場合には、基本的にその内容に従って遺産を分けて名義変更等の手続きに進みます。
ただし、この場合でも遺留分を侵害された相続人が権利を主張してきた場合には、相続人間の話し合いが必要になることもあります。

また、遺言書に記載されていない財産については、相続人間で話し合って遺産を分けることになります。

 

反対に、次の場合には相続人全員で話し合って、遺産を分けることになります。これが『遺産分割協議』です。

遺言書がない場合
遺言書の内容が相続分の割合を指定しているだけのもの(たとえば「Aの相続分を何分の何とする」というようなもの)である場合

 

遺産分割協議を進めるには、以下のような手順で進めるのが理想的です。

(1)相続人を確定する:故人の出生から死亡にいたるまですべての履歴が記載された戸籍謄本を集める

(2)遺産を確定する:(1)と平行して、故人の遺産を特定する。遺産目録を作ればベスト

(3)相続人全員で、遺産分割協議を行う

(4)遺産分割協議書を作る

(5)遺産の名義変更や、預貯金等の解約・分配を行う

遺産分割協議をいつまでに終わらせなければいけないかということは、法律上には定めがありません。 しかし、あまり時間をかけすぎると、遺産が散逸したり、相続人の側の事情が変わって話し合いがまとまらなくなったりすることが多いですので、できるだけすみやかに済ませたほうがいいでしょう。

また、相続税の申告を必要とする場合には、相続開始時から10ヶ月以内に申告しなければならず、遺産分割協議がまとまらないと各種の控除を受けることができなくなることがありますので、特に注意が必要です。

なお、相続人を一人でも欠いた遺産分割協議は無効です。
特定の相続人を除外して遺産分割協議をしても無意味ですので、(1)の戸籍謄本を集める作業は大事です。
全員参加したとしても、多数決で決めることはできません。必ず全員一致しなければ有効な遺産分割協議にはなりません。

また、相続人の中に未成年者がいたり、認知症などで判断能力が弱い方がいる場合には、家庭裁判所での手続きが必要になることがあります。

もしも遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所での遺産分割調停・審判という形で、裁判所の関与を受けながら遺産を分けます。

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