今日のアイソン彗星(2013.11.19)

※相続や遺言とは、まったく関係ありません。

今朝、太陽に接近中のアイソン彗星を撮影してきました。
日経の朝刊社会面にも、アイソン彗星の記事が出ていました。

場所:千葉県我孫子市
canon EOS7D   85mm  F2.5  ISO1600  露出10秒

アイソン彗星20131119a

上のほうにある明るい星がおとめ座α星のスピカ。

その左下に見える緑色の淡い光が、アイソン彗星です。
スピカの方向に尾を引いているのが、かすかにわかります。

スマホだと見えにくいかもしれません。パソコンのほうが見やすいと思います。

赤道儀(天体の動きを追尾する装置)を使わなかったので、少し星が流れています・・・

西の空に月が煌々と輝いていたので、これ以上露出時間を長くすると写真が白くとんでしまいそうです。

「アイソン彗星は、あまり明るくならないのではないか」と言われていましたが、先週14日にバーストを起こしたらしく、かなり明るくなってきました。
肉眼でもアイソン彗星を確認できるくらいになっています。

これから太陽に近づいていくにつれ、明るく尾も長くなっていきます。

11月29日に太陽に最接近(近日点通過)しますが、この時点では太陽に近すぎてみることができません。

その後、12月初旬には、もしかすると明け方に大彗星が見られるようになるかもしれません
期待大です。

もっとも、太陽に接近したときに分裂して消滅してしまう可能性もありますが・・・
(11/29補記:本当に消えてしまいました・・・)

しばらく時間がたってから、東の空に惑星の水星が昇ってきたので、スピカ&アイソン彗星との3ショットもおさめてきました。残念ながらこちらは彗星の尾はほとんどわかりませんが。
右上がスピカとアイソン彗星、左下が水星です。

アイソン彗星とスピカと水星

canon EOS7D  85mm  F2.5  ISO1600  露出3.2秒

お客様の声18 T様

お客様の声18 T様

高橋様から届く文章から、父の元気なころの面影を鮮明に感じ、そして同時に温かい言葉に胸を熱くし、励ましのお言葉をいただいた事で、私の中にある悲しみに、けじめをつけて前向きに生きていく気持ちになりました。

無事にすべてが終了しましたので、これが最後の御連絡になると思います。重ねて申し上げますが、本当に有難う御座いました。

11月に入り、秋らしく寒くなって参りましたので、高橋様もお体には十分お気をつけてお過ごしくださいませ。

T様。どうもありがとうございました。
お父様がお元気だったころのことを、今でも思い出します。

Q024 遺言に書くことができる内容とは?

【Question】

遺言は法律で形式が決まっていると聞きましたが、どのような内容を書くことができるのでしょう?家族への気持ちのようなことを書いてはいけないのですか?

 

【Answer】

遺言の内容は基本的に自由にですが、相手方の承諾を必要としないために、書くことができる内容は自然と法律によって認められたものに限られてきます

もっとも、法律に定められたものではないことを記載しても遺言自体が無効になるということはありません。たとえば「私の亡きあとも兄弟仲良く暮らしてください」と書いてもかまいません。これを『付言事項(ふげんじこう)』といいます。
当事務所では、遺言を作成される方には必ず付言事項を加えることをお勧めしています

なお、遺言に書くことで法律上の効力を生じさせることができる事項(遺言事項)は、次のとおりです。
単なる法律用語の羅列ですし、中には理解が難しいものもありますが、気にしないでください。

第1 遺言でしかできない行為
(1)相続分の指定・指定の委託(民法902条)
(2)遺産分割方法の指定、指定の委託(民法908条)
(3)遺産分割の禁止(同)
(4)遺産分割における共同相続人間の担保責任の定め(民法914条)
(5)遺言執行者の指定・指定の委託(民法1006条1項)
(6)複数の遺贈がある場合の、遺贈の減殺割合の指定(民法1034条但書)
(7)未成年者の後見人・後見監督人の指定(民法839条,848条)

第2 遺言によっても生前行為によっても、どちらでもできる行為
(1)遺贈  (民法964条。ただし、生前行為の場合は”贈与契約”となり、相手方の承諾が必要)
(2)財団法人設立のための寄付行為(民法41条2項)
(3)信託の設定(信託法3条2号)
(4)認知(民法781条2項)
(5)推定相続人の廃除・廃除の取消し(民法893条,894条2項)
(6)特別受益の持戻しの免除(民法903条3項)
(7)祖先の祭祀主宰者の指定(民法897条1項)
(8)生命保険金受取人の指定・変更(保険法44条)

 

【Reference】

上記の『遺言事項』は法律用語の羅列ですし、中にはほとんど利用されることがない事項もあります。
ここでは、重要なポイントだけを少し説明します。

 

・遺言に書く『財産の分け方』は、基本的に2つの方法がある

相続人に対して遺言で財産の分け方を指定するには、基本的に2つの方法があり、どちらの方法も必ず遺言で指定しなければいけません。

1つは、法定相続分と違った割合で、相続の割合を定める方法で、これが民法902条の”相続分の指定”です。
たとえば、長女に3分の2、次女に3分の1を相続させるというようなものです。
具体的な財産については指定していませんから、指定された相続分に基づいて遺産分割協議を行う必要があります。

もう1つは、ある程度財産を特定して財産の分け方を指定する方法で、これが民法908条の”遺産分割方法の指定”です。
遺産の目録を作ってそれぞれの取得者を指定する厳格なやり方もあれば、「預金は全部、妻に相続させる」というような、内容が不明確でない程度ならば大まかな指定でもかまいません。
「家と田畑は長男に、その他の財産は長女に」という指定も有効です。

 

・『遺贈』にも、2つのやり方がある

遺言で、相続人ではない人や団体に財産を与えると書けば、それは『遺贈』になります。遺贈にも2つの方法があります。

1つは、「Aさんに遺産の2分の1(あるいは全部とか3分の1とか)を遺贈する」というように、割合で定めて一括して与える方法で、これを”包括遺贈”といいます。
包括遺贈を受けた人(包括受贈者)は、相続人と同じ権利義務を負い、他の相続人とともに遺産分割に参加し、遺言で定められた自己の割合を主張することになります。もめることが当然に予想されますので、他に相続人がいる場合にはあまり利用されません。
また、遺言者に借金などのマイナスの財産があれば、包括受遺者も遺贈の割合に従ってこれを負担しなければなりません。

もう1つは、「Bさんにどこそこの家屋を遺贈する」というように具体的な財産を指定して遺贈する方法で、これを”特定遺贈”といいます。

なお、”相続人に対する遺贈”も間違いではありません。遺贈は、相続人ではない人に対しても相続人に対しても行うことができます。
もっとも、相続人に対して特定遺贈をした場合には、実質的には民法908条の遺産分割方法の指定として扱われます(ただし、不動産登記の手続きは遺贈の方式による)。

 

・付言事項はとても大切!

『遺言書』そのものは、遺産の配分をあなた自身で決めるための法律文書ですので、どちらかというと堅苦しい文書です。
しかし、内容や形式が法律上有効な遺言であれば、財産に関すること以外の内容を盛り込むことができます。これを『付言事項(ふげんじこう)』といいます。

たとえば、
・家族への気持ちや感謝の言葉
・遺言書を書いた理由や、財産配分の理由
・財産以外のことについて、頼んでおきたいこと
このような内容を盛り込んでおくことで、遺言者の想いを残された方々に伝えることができます。

想いが込められた付言事項があれば、残された方もきっと遺言者の気持ちを真摯に受け止めることでしょう。
財産の配分に不満があっても理解してくれる可能性がずっと高まり、それがひいては円満な相続を実現することになるのです。

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2013年11月17日 | カテゴリー :

Q023 遺言のメリットとデメリットは?

【Question】

定年退職した会社のOB会に出席したときに、同期の友人が「遺言書を作ったので、とても安心しているよ」と話していました。遺言書を作ることにはどのような意味があるのですか?

 

【Answer】

『遺言』は、いつやってくるかわからない自分の万一のときに備えて、財産の分け方や認知などの身分事項について自分の希望が実現できるように、民法の決まりにしたがって作成しておくものです。

自分の心情を書き記しておく”遺書”とはちがい、遺言に書き記したことが法律的に有効になって、遺族や第三者が遺言書の内容に拘束されます。

具体的には、次のようなメリットがあります。
1) 家族の実情にふさわしい財産の配分ができる
2) お世話になった人や団体に、財産を分け与えることができる
3) 残された家族・親族の手続き上の負担を軽くすることができる

ただし、遺言は法律上の形式に従って適切に作成しなければ、かえってデメリットを生み出すこともあります。
たとえば、
1) 遺言の記載があいまいだったことが原因で、かえって争いの元になってしまうことがあります。
2) 法律の決まりに従って書かれていないと、希望どおりにならないことがあります。
3) いくら自分の希望が優先するといっても、あまりに実情を無視した内容では大きな紛争を引き起こします。

なお、余計なことかもしれませんが、法律家は『遺言』を『いごん』、『遺言書』を『いごんしょ』と呼びます。一般の方は『ゆいごん』『ゆいごんしょ』と呼ばれることが多いと思いますが、もちろん決して間違いではありません。ちなみに筆者は、専門用語が大キライなので、一般の方と同じく『ゆいごん』『ゆいごんしょ』と呼んでいます。

 

【Reference】

遺言を書いておくことの利点を、もう少しくわしく見てみましょう。

 

・家族の実情にふさわしい財産の配分ができる

「自宅は妻に残して生活の場を確保しておきたい」
「経営している会社の株式は、後継者である長男にすべて与えたい」
「介護に尽くしてくれた長女に財産を多く残したい」
「障がいのある子には、生活できるだけの資産を残したい」

このような希望を実現するための方法の1つが、『遺言』です。

万一のことがあったとき、故人が遺言をのこしていなければ、遺産は法定相続人全員による話し合いで、だれがどのように引き継ぐかを決めます。これが『遺産分割協議』です。
遺産分割協議には、すでに天国にいる故人が口をはさむことは、もちろんできません。

遺言をのこしておけば、基本的には遺言の記載内容が優先され、遺言の内容によっては遺産分割協議そのものが省略されることになり、遺言を作った人の希望が達成されるのです。

また、遺産分割協議がまとまらなければ、家庭裁判所での調停・審判となり、家族の間で骨肉の争いになることもあります。
適切な遺言書を残して財産の分割方法を指定しておけば、このような相続争いを防いで円満な家族関係を保つことができるという効用もあります。

 

・お世話になった人や団体に、財産を分け与えることができる

「苦労して世話をしてくれた息子の嫁にも財産をのこしたい」
「内縁の妻にも遺産を渡したい」

遺言がなければ、故人の財産はすべて相続人が承継することになりますが、遺言があれば、遺言者の意思にもとづいて相続人ではない人に財産を残す(遺贈)ことができます。
遺贈の場合は、生前贈与に比べて税負担などのコストが大幅に少なくなることもメリットになります。

また、団体に対して財産を残すことも可能ですので、「遺産を寄付して世の中に役立てたい」という希望もかなえることができます(ただしもらった法人には法人税、あげた遺贈者にはみなし譲渡所得課税の問題があります)。

 

・相続人の負担を軽減できる

相続手続きを経験されたことがある方でしたら、遺産分割とは大変面倒で、相当な量の事務作業を必要とするものであると痛感されたのではないでしょうか。

遺産を分割するには、まず前提として故人の遺産を調査してまとめ、故人の出生から死亡までの戸籍謄本を揃えて相続人を確定するという作業を行う必要があります。遺産分割協議が成立するまでの間、故人の銀行口座は凍結され、自由に引き出すこともできません。

ところが、法的に間違いのない遺言書があれば、相続人が行うこのような作業を大幅に軽減することができます(公正証書遺言の場合)。
たとえば戸籍謄本については、故人の死亡記載のある最終の戸籍謄本と、実際に財産を引き継ぐ相続人の方の戸籍謄本があれば足り、預金口座についてもすぐに凍結を解除することが可能になります。

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2013年11月16日 | カテゴリー :

Q022 借家権は相続されるか(公営住宅の場合)

【Question】

私は、夫の名前で借りた市営住宅に夫婦2人で25年にわたって居住していましたが、その夫が先日亡くなりました。
残された私も高齢なので今のまま住み続けたいのですが、立ち退きを求められるようなことはないのでしょうか。

 

【Answer】

市営住宅などの公営住宅法にもとづいて建てられている公営住宅については、入居者(借主)がお亡くなりになった場合には相続の対象にならず、その相続人が同じ住宅を使用する権利を当然に承継することはできません。
しかし、入居者がお亡くなりになった時に1年以上同居していた方は、収入条件をオーバーしていたり不正入居や家賃の滞納のような明け渡し事由に該当していない限り、事業主体の承認を受ければ引き続き住み続けることができるようになっています。
あなたの場合は、まず大丈夫ですよ。

 

【Reference】

公営住宅は、住宅に困っている所得の少ない方を対象として、安い賃料で住宅を提供することによって国民生活の安定と社会福祉の増進をはかることを目的とするもので、公営住宅法という法律や自治体の条例に規定があります。
(自治体の中には、比較的収入が高い層に賃貸住宅を提供しているところがありますが、こちらはここでいう『公営住宅』とは別物です)

公営住宅の入居者は法令によって決まっています。
そのため、入居者がお亡くなりになった場合には、公営住宅の使用権は被相続人の一身に専属するものと考えられ、相続の対象になりません(平成2年10月18日最高裁判決)。そのかわり、一定の条件を満たし、事業主体の承認を受ければ、住み続けることができるしくみになっています。

その一定の条件とは、次のすべての条件をクリアすることです(公営住宅法施行規則11条を簡単にしました)。

1)入居者との同居期間が1年以上あること
2)収入が一定の金額を超えないこと
3)不正入居でないこと
4)家賃を3ヶ月以上滞納していないこと
5)住宅や施設を故意に破壊していないこと
6)公営住宅法27条の義務(無断転貸の禁止など)や条例違反がないこと

なお、病気などの特別な事情があれば、これらの条件を満たしていない場合でも承認されることがあるようです(施行規則10条2項)。

 

-参考判例-
平成2年10月18日最高裁判所第一小法廷判決
「公営住宅法は 、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で住宅を賃貸することにより 、 国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とするものであって ( 一条) 、 そのために、 公営住宅の入居者を一定の条件を具備するものに限定し( 一七条) 、 政令の定める選考基準に従い 、 条例で定めるところにより、 公正な方法で選考して 、入居者を決定しなければならないものとした上( 一八条 ) 、 さらに入居者の収入が政令で定める基準を超えることになった場合には 、 その入居年数に応じて 、 入居者については 、当該公営住宅を明け渡すように努めなければならない旨 ( 二一条の二第一項) 、事業主体の長については 、 当該公営住宅の明渡しを請求することができる旨 ( 二一条の三第一項 )を規定しているのである 。 以上のような公営住宅法の規定の趣旨にかんがみれば 、入居者が死亡した場合には、 その相続人が公営住宅を使用する権利を当然に承継すると解する余地はないというべきである。」

 

-参考条文-
・公営住宅法27条6項
公営住宅の入居者が死亡し、又は退去した場合において、その死亡時又は退去時に当該入居者と同居していた者は、国土交通省令で定めるところにより、事業主体の承認を受けて、引き続き、当該公営住宅に居住することができる。

・公営住宅法施行規則11条
事業主体は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、法第27条第6項 の規定による承認をしてはならない。

一  当該承認を受けようとする者が入居者と同居していた期間が一年に満たない場合(当該承認を受けようとする者が当該入居者の入居時から引き続き同居している親族(婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者その他婚姻の予約者を含む。)である場合を除く。)
二  当該承認を受けようとする者に係る当該承認の後における収入が令第9条第1項 に規定する金額を超える場合
三  当該入居者が法第32条第1項第1号 から第1号 までのいずれかに該当する者であつた場合
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お客様の声17 H様

お客様の声17 H様

母が亡くなり、長男として遺産相続の手続きを行うことになりました。
預金の相続手続きについては、なんとか調べて自力で行うことができましたが、土地の相続手続きについては、どれだけ調べても理解が難しく、自分でやる気が無かったところ、インターネットの検索で「ひびき事務所」へたどりつくことができました。
司法事務所というのは敷居が高く、報酬も高額というイメージでしたが、費用もこちらでは明確に示していただけたので安心して依頼することができました。
自分にとってなによりの魅力は、全てメールと郵送のやりとりだけで手続きが完了したことで、メールでの質問も迅速に回答をいただき、とても信頼することができました。
今回スムースに手続きが完了したことを受けて、「餅は餅屋だ」ということをあらためて感じました。ありがとうございました。

H様、どうもありがとうございました。

Q021 借家権は相続されるか(民間アパートの場合)

【Question】

母が亡くなりました。相続人は兄と私の2人です。
私は母の名義で借りた民間アパートに、母と2人で同居していました。
できればこのまま今のアパートに住み続けたいのですが、再契約しないと住み続けられないのでしょうか?

 

【Answer】

亡くなられたお母様が借りていたのは民間アパートですから、相続人が賃貸借契約の借主の地位を相続しますので、今までどおり住み続けることができます。
住み続けるにあたって、家主さんや管理会社の承諾は必要ありません。
 家主さんから『再契約』『契約の更新』『名義変更』などの名目で金銭の支払いを求められても、それに応じる必要はありません。ただし必要な届出は済ませておきましょう。

 

【Reference】

民間アパートの場合、アパートを借りる代わりに家主さんに賃料を支払っているので、『賃貸借契約』の借主の地位を相続できるかどうかという点がポイントになります。
もしも家賃の支払いがないか、または家賃が非常に低額な場合には、『使用貸借契約』の問題となり、結論が逆転します。

賃貸借契約の場合

家賃を支払う代わりに一般のアパートを借りる場合、賃貸人(家主)と賃借人との間で賃貸借契約を締結します。

相続が発生すると、相続人は、被相続人の一身に専属する権利を除いて被相続人の権利義務いっさいをそのまま承継します。
アパートを借りる権利(=借家権)も被相続人の財産であり相続の対象となりますので、何ら手続きをしなくても相続人が承継します。
アパートの使用目的が居住用でも事業用でも同じです。

相続人は被相続人の権利義務いっさいをそのまま承継しますので、借家権を第三者に譲渡・転貸するわけではありませんから、家主さんの承諾は必要ありません。

遺産分割が終わるまでの間は、借家権は相続人の間で共有(準共有)することになり、相続人全員が相続分に応じてアパートを使用する権利がありますので、ご相談者はお住まいのアパートに住み続けることが可能です。 もちろん遺産分割が成立すれば、借家権を相続した相続人が単独でアパートを使用することができます。

よくある話として、借家の相続人に対し家主さんから再契約を求められたり、『名義変更料』『更新料』などの名目で金銭を請求されたりすることがあります。 これは法律的にはまったく根拠がありませんので、請求に応じる必要はありません。応じなくても違法ではありません。

もちろん、家賃はきちんと払わなければ家主さんから契約を解除され、アパートを明け渡さなければなくなってしまいます。 遺産分割協議が成立するまでは相続人各自が賃料全額を支払う義務があります。

なお、家賃を払っているといっても、その家賃が非常に低額で固定資産税に相当する額・建物維持費の程度であれば、それは後で解説する『使用貸借契約』と考えられ、結論は正反対になります。 使用貸借による借主は借用物の通常の必要費を負担するものとされており(民法595条1項)、その場合にはアパートについて固定資産税に相当する額程度は借主が負担するのが通常であるからです。 これは名目ではなく実質で判断しますので、家賃として払っているけれどもその額が固定資産税の額程度ならば、それは賃貸借ではなく使用貸借として扱われます。

使用貸借契約の場合

親族から住居を借りているような場合では、賃料を支払っていなかったり、支払っていてもごくわずかであったりするケースがあります。このようにほとんど無償で借りているような場合の契約を『使用貸借契約』といいます。

使用貸借契約は、貸主と借主の特別な関係によって成立する契約ですので、借主の一身に専属ずる権利と考えられており、相続の対象となりません。借主の死亡によって当然に契約が終了してしまいます。

まずは家主さんに今までどおり使用貸借させてもらえるよう交渉し、それが受け入れられなければ賃貸借契約に切り替えてもらうか、または転居先が決まるまで待ってもらうようにお願いするしかありません。

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Q020 借地は相続できるか

【Question】

先月、夫が亡くなりました。相続人は妻である私・長男・長女の3人です。
夫の遺産は自宅の建物だけで、土地は借地です。
この家に済んでいるのは私一人だけですが、私は今までどおりこの家に住むことはできますか。

 

【Answer】

まず、借地が『賃貸借契約』の場合(相応の地代を払っている場合)には、今までどおり住み続けることができます。
地主さんの承諾は必要ありません。

注意点としては、借地が賃貸借契約の場合には借地権にも財産的価値があり、その価値が高いこともありますので、遺産分割で問題になることがあるという点です。
遺産分割が終わったら、建物について相続登記(名義変更)をします。賃借権も登記されている場合には登記が必要です。

もしも、借地が『使用貸借契約』の場合(地代を払っていない場合)には、地主さんから建物の撤去・土地の明け渡しを要求されるかもしれません。
使用貸借契約では地主さんから明け渡しを請求されたら住み続けることはできませんが、交渉の余地はあるかもしれません。

なお、賃貸借契約でも、地代が非常に低く固定資産税の額程度の場合には、実質的には使用貸借契約と言えますので、明け渡しに応じなければならないこともあります。

 

【Reference】

借地の借主が亡くなった場合には、地主さんに対する地代の有無によって結論がまったく異なります。

賃貸借契約の場合

相続人は、被相続人の一身に専属する権利を除き、被相続人の権利義務いっさいをそのまま承継します。
借地権(賃借権・地上権)も被相続人の財産であり相続の対象となりますので、何ら手続きをしなくても相続人が承継します。
借地の使用目的が居住用でも事業用でも同じです。

相続人は被相続人の権利義務いっさいをそのまま承継しますので、借地権を第三者に譲渡するわけではありませんから、地主さんの承諾は必要ありません

遺産分割が終わるまでの間は、借地権は相続人の間で共有(準共有)することになり、相続人全員が相続分に応じて借地を使用する権利がありますので、ご相談者は自宅に住み続けることが可能です。
もちろん遺産分割が成立すれば、借地権を相続した相続人が単独で借地を使用することができます。

よくある話として、借地の相続人に対し地主さんから『名義変更料』『更新料』などの名目で金銭を請求されることがあります。
これは法律的にはまったく根拠がありませんので、請求に応じる必要はありません。応じなくても違法ではありません。

もちろん、地代はきちんと払わなければ地主さんから契約を解除され、土地を明け渡さなければなくなってしまいます。
遺産分割協議が成立するまでは相続人各自が賃料全額を支払う義務があります。

なお、地代を払っているといっても、その地代が非常に低額で固定資産税の額程度であれば、それは後で解説する『使用貸借契約』と考えられ、結論は正反対になります。
使用貸借による借主は借用物の通常の必要費を負担するものとされており(民法595条1項)、その土地の固定資産税は借主が負担するのが通常であるからです。 これは名目ではなく実質で判断しますので、地代として払っているけれどもその額が固定資産税の額程度ならばそれは賃貸借ではなく使用貸借として扱われます。

借地権の遺産分割

注意点としては、借地上の建物が古くほとんど価値がない場合でも、借地権は意外と財産的価値が高いという点です。
借地権の価額は、土地の更地価額の50~70%で評価されるため、遺産分割の際に問題になることがあるのです。

ご相談者のように借地上の建物を利用したい相続人がいる場合で、相続人全員による遺産分割がすんなりとまとまらなければ、次のような方法で遺産分割協議を成立させていくことが考えられます。

1)建物と借地権の現物を取得する相続人が、代わりに法定相続分を超える部分の価額に相当する金銭を他の相続人に支払う(代償分割)

2)地主さんや第三者に建物と借地権を買い取ってもらって、その代金を相続人で分ける(換価分割)

使用貸借契約の場合

土地を無償で借りているような場合を『使用貸借契約』といいます。

使用貸借契約は、貸主と借主の特別な関係によって成立する契約ですので、借主の一身に専属ずる権利と考えられており、相続の対象となりません。借主の死亡によって当然に契約が終了してしまいます。

そのため、地主さんから明け渡しを請求された場合には、それに応じなければならなくなります。 しかも、地主さんは借主に対して建物を解体した上での土地明け渡しを請求できますので、相続人が解体費用を負担しなければならなくなります。

そのため、まずは地主さんに今までどおり使用貸借させてもらえるよう交渉し、それが受け入れられなければ賃貸借契約に切り替えてもらうか、または転居する代わりに建物解体費用を負担してもらうかを交渉していくことになるでしょう。

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Q019 墓地や位牌はどのように相続するか(祭祀の承継)

【Question】

父が昨年亡くなりました。相続人は私と、私の姉の2人です。
私は30年前就職のため上京し、今も都内に住んでいますが、姉は地元で結婚し、今も実家の近くに住んでいます。
私は今後も地元に戻るつもりはないので、姉が遺産の大半を相続することに異論はないのですが、姉から、先祖代々の墓地や仏壇は、長男である私が引き継ぐべきではないかと言われて困っています。

 

【Answer】

お父様が、口頭でも書面でも、墓地や仏壇を誰に承継させるかを指定していればそれに従いますが、そのような指定がなければ相続とは無関係にその地方の慣習に従います。
あなたの地元にそのような慣習が残っていればあなたが墓地や仏壇を承継することになりますが、特に慣習がなければまずはごきょうだいで話し合い、それでも解決しなければ家庭裁判所の調停や審判で定めることになります。

 

【Reference】

家系図や仏壇・仏具、神棚・神具、墓地・墓石など、祖先の祭祀を行うために必要な財産のことを『祭祀財産』といいます。

ときおり非常に財産的価値が高いものが含まれることもありますが、祭祀財産は相続財産には含まれません。そのため、高額な祭祀財産を承継したからといって遺産分割のときに相続分が減らされることもありません(祭祀財産を承継するとなにかとコストがかかりますので、遺産分割協議でそれを考慮するかどうかは相続人間の話し合いによります)。
相続財産ではありませんから、祭祀財産を承継するのは相続人とは限りません。内縁の妻が承継することもあります。
また、仮に家庭裁判所で相続放棄の手続きを取ったとしても、これらの祭祀財産は引き継ぐ余地があります。

祭祀財産は、原則として相続税の課税対象にもなりません(非課税財産)。墓地や仏壇に相続税をかけることは国民感情として受け入れられないと考えられているからです。
ただし、これを逆手にとって純金製の豪華な位牌を作ったり、不必要に広大な墓地を購入したりしたような場合には、投資目的や相続税逃れの目的があると考えられますので相続税の課税対象になります。

 

祭祀承継者の決め方

祭祀財産は相続財産に含まれませんから、祭祀財産を承継する人(祭祀を主宰すべき者、祭祀承継者)は相続とは別の考え方で決めます。
誰が祭祀承継者になるかは、次の順番で決めます(民法897条)。
第1 被相続人の意思
第2 地方の慣習
第3 家庭裁判所の決定(調停など)

まず、被相続人の意思があれば、それを優先します。
これは書面でも口頭でも良く、もちろん遺言でも有効です。
余談ですが、遺言公正証書を作成する場合、祭祀の承継に関する事項を本文に入れてしまうと公証人手数料が11,000円余計にかかるので、それとなく付言事項に盛り込んでおくようなテクニックがあります。

被相続人の意思が明確ではない場合は、地方の慣習によって祭祀承継者を決め、そのような慣習もなく相続人間の意見もまとまらなければ、家庭裁判所に調停の申立てをすることができます。調停もまとまらない場合は家庭裁判所の審判で決まります。
祭祀財産の承継は、通常の遺産分割調停・審判と異なり相続とは別問題ですから、家庭裁判所で相続放棄の手続きを取っていたとしても調停手続きの当事者となります。

遺骨・遺体について

遺骨についても、判例は祭祀承継者に帰属するものとしています(平成元年7月18日最高裁判決)。遺骨や遺体は祭祀財産ではありませんが、それに準じるものとして考えられ、所有権は祭祀承継者に帰属することになります。

もっともこのような場合、『分骨』などの方法で解決することもあります。

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お客様の声16 U様

お客様の声16 U様

この度は、ありがとうございました。
父が亡くなり、いろいろな手続きがあり、何をどうしたらよいかわからず、インターネットで貴社のホームページを見つけ、資料を取り寄せたところ、大変わかりやすく、費用についてもきちんと項目ごとにわかりやすくなっておりましたので、お願いすることにしました。
電話での対応も親切にしてくださって、ありがたかったです。
手続きのほうもスムーズに行う事ことができました。
ありがとうございました。

U様、どうもありがとうございました。