Q005 孫は相続人になれるか(代襲相続2)

Q 先日、父方の祖父が亡くなりました。父は10年前に他界しております。父には姉が1人おり、今でも健在です。この場合、孫である私は祖父の相続人になるのでしょうか。

 

A   あなたも相続人になります。

被相続人の子の中で、被相続人より先に亡くなっているような人がいる場合に、さらにその子(被相続人から見ると孫)が代わって相続人になることができます。このような相続人を代襲相続人(だいしゅうそうぞくにん)といいます。
被相続人に子がなく兄弟姉妹が相続人になる場合でも、被相続人より先に亡くなっているような人がいれば、さらにその子(被相続人から見ると甥・姪)が代襲相続人になります。
代襲相続の事例

相続人の範囲は、被相続人が亡くなった時点を基準に決めていくのが民法の原則です(同時存在の原則)。 あなたの事例で考えると、おじい様が亡くなった時点でお父様がすでに他界されていますから、この原則で考えるとあなたのお父様は相続人ではありません。

しかし、相続の順番が逆で、おじい様が先に亡くなっていればお父様が相続人となり、そのお父様が亡くなった時点であなたが相続人になれるはずなのに、あなたのようにお父様が先に亡くなっているためにおじい様の遺産を相続する権利がまったくないというのは、いかにも不公平です。 相続というものは、遺族の生活を保障するというはたらきを持っていますから、これでは本来のはたらきを果たしているとはいえなくなってしまいます。

そこで民法は、同時存在の原則の例外として、本来の相続人となるはずの人が先に亡くなっている等の事情がある場合には、その子が代わりに相続人となることを決めました。 これが代襲相続です。

代襲相続は、次の場合にかぎって起こります。
1)本来の相続人となるはずの人が、被相続人の死亡以前に、すでに死亡している場合。
2)本来の相続人となるはずの人が、相続欠格者の場合。
(相続欠格とは、特別な事情がある人が相続人の資格を失う決まりです。)
3)本来の相続人となるはずの人が、相続の廃除を受けた場合。
(廃除とは、被相続人が、特定の相続資格者から相続資格をはく奪するための手続きです。)

これらの場合には、その子が代わりに相続人になります。
本来の相続人となるべき人が家庭裁判所で相続放棄の申述をした場合や、直系尊属には、代襲相続は認められていません
また、配偶者にも代襲相続権はありません

代襲相続では、本来の相続人となるはずの人が生きていたら受けられた相続分を、代襲相続人が引き継ぎます。
あなたにきょうだいがいなければ、あなたの相続分はご健在のおば様と均等になります。

なお、代襲相続人である孫が、さらに上記1)から3)に該当して相続権を失ったときは、さらにその子(ひ孫)にも代襲相続権が認められます(”再代襲相続”といいます)。
しかし、甥・姪が上記1)から3)に該当している場合には、その子には再代襲相続権は生じません。これを認めると相続人の範囲が広くなりすぎるためです。

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2013年10月1日 | カテゴリー :