Q004 夫が舅より先に亡くなっても、妻は舅の相続人になれるか(代襲相続)

Q 夫が先立って10年になります。その間、私は”長男の嫁”として舅の面倒を見てきました。このような場合、舅に万一の事があった場合には、私は舅の相続人になれるのでしょうか?

A 結論から申し上げれば、あなたはお舅さんの相続人にはなれません。

民法の世界では、配偶者は常に相続人とされていますが、配偶者以外で相続権をもつのは『子』『直系尊属』『兄弟姉妹』に限られています。

子・直系尊属・兄弟姉妹に共通するのは、”被相続人と血のつながりがある”ということで、これを『血族相続人(けつぞくそうぞくにん)』といいます。
『血族(けつぞく)』には、実際に血のつながりがある『自然血族』のほか、養子縁組によって血のつながりがあるのと同視される『法定血族』があります。

『血族』と反対の用語が『姻族(いんぞく)』です。これは、婚姻によってつながりのできた人たちのことをいいます。

あなたの場合、お舅さんから見て『姻族』にあたります。配偶者以外の姻族は相続人の範囲に含まれないため、法律上は残念ながらあなたに相続権はありません。

ただし、亡くなったご主人とあなたとの間にお子様がいらっしゃれば、お子様はお舅さんから見て孫(つまり血族)ですので、亡くなったご主人の代わりに相続人となります。これを代襲相続といいます。

(我が国では急速に高齢化が進行しているため、実感として、このようなご相談は結構多いのです。いずれ『寄与分』のところでも触れますが、介護などを通して高齢者の面倒を見てきた親族が、相続に関する法律の中では正当に評価してもらえないという点は、大きな問題ではないでしょうか。)

では、対策は?

できることなら、お舅さんに遺言を書いてもらいたいところです。他の相続人(亡くなったご主人のきょうだいなど)の遺留分を侵害しない範囲で、財産を遺贈してもらうのが一番確実です。
とはいえ、遺言を書くことをお舅さんに強制することはできません。お舅さんとあなたとの関係が良好ならば、養子縁組によって相続人に加わるということも考えられるかもしれません。

もし順番が逆だったら?

もしもお舅さんが先に亡くなって、そのあとでご主人が亡くなったならば、あなたはご主人の配偶者ですから、ご主人が相続した範囲でお舅さんの遺産を相続する可能性があります(二次相続)。

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2013年9月29日 | カテゴリー :