Q065 相続財産から控除できる葬式費用とは

【Question】

私は、長男ということもあって、父の葬儀に際し喪主を務め、初七日忌・四十九日の法要も執り行いました。
これらに要した費用は、相続税の計算にあたっては相続財産から控除できますか。

 

【Answer】

基本的な考え方としては、お葬式に関する費用は控除できますが、法要に関する費用は控除できません。
また、香典返しの費用は控除できません。

 

【Reference】

葬式費用は、被相続人の債務ではありません(ご参考 Q036 葬儀費用は誰が負担するのか)。そのため、相続費用が遺産分割の対象となることはなく、遺留分を計算するときに債務として控除することもできません。

しかし、相続税の計算ではお目こぼしがあります。葬式費用は人が亡くなった場合には必ず発生する費用ですので、相続人が葬式費用を負担する場合には、債務控除と同様に相続財産から控除できるようになっています(注)。

(注)適用対象者が制限納税義務者の場合は、葬式費用の控除は認められない(相続税法13条2項)。

葬式の方法は地域の慣習や宗教によって大きな違いがあり、どこまで葬式費用と認められて相続財産から控除の対象になるかという線引きは難しいものがあります。そこで、以下のような取り扱いがなされています。

 

葬式費用となり控除できるもの

(1) 葬式もしくは葬送に際し、又はこれらの前において、埋葬、火葬、納骨又は遺がい・遺骨の回送その他に要した費用(仮葬式と本葬式との両方を行うケースでは、その両方の費用)

(2) 葬式に際し、施与した金品で、被相続人の職業、財産その他の事情に照らして相当程度と認められるものに要した費用

(3) (1)又は(2)に掲げるもののほか、葬式の前後に生じた出費で通常葬式に伴うものと認められるもの(御布施や戒名料などを指します)

(4) 死体の捜索又は死体若しくは遺骨の運搬に要した費用

※これらを控除するためには領収書があることが望ましいのですが、御布施にように領収書を発行してもらえないものについては、誰にいくら渡したのかを記したメモを残しておけば大丈夫です。

 

葬式費用とならず、控除できないもの

(1) 香典返戻費用

(2) 墓碑及び墓地の買入費並びに墓地の借入料

(3) 法会(初七日忌や四十九日など)に要する費用

(4) 医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用

なお、香典については課税されません。
(ご参考 Q035 お香典は遺産に含まれるの?

 

相続放棄者や相続欠格者が葬儀費用を負担した場合

債務控除の適用を受けることができるのは『相続人』と『包括受遺者』に限られています。 なぜなら、これらの人は相続分または包括遺贈の割合で被相続人の債務を負担することになるからです。

家庭裁判所で相続放棄の申述をした人や相続欠格者などは、はじめから相続人ではなかったという扱いになるので、被相続人の債務を承継することはなく、債務控除もありえません。

しかし、このような人たちも葬式費用を負担する可能性はあります。葬式費用は被相続人の債務ではないからです。

そこで、家庭裁判所で相続放棄の申述をした人等が葬儀費用を負担した場合には、その人が遺贈によって取得した財産があれば、その財産価額から債務控除することができます(相続税基本通達13-1)

 

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2014年2月20日 | カテゴリー :