お客様の声11 M様

お客様の声11 M様

登記について相談に行ったのですが、担当の花しまさんがとても感じの良い方で、安心して依頼できそうだったので、お願いしました。
どうしても”司法書士”というと一見固そうなイメージがあり、年配で怖そうなイメージだったのですが、花しまさんは、こちらの相談や質問に快く答えてくださったので安心でした。処理も予定通り進めて下さり、まめに連絡を下さったので不安に思うことなくおまかせできました。
何一つ不満なく登記を済ませる事ができ、こちらにお願いしてよかったと思っています。ありがとうございました!
どうしてもお願いする側は素人ですので「こんなこと言ったり聞いたりしたらばかにされるのではないか。」というような気持ちがありますが、花しまさんのように、いつでも明るく丁寧に対応して下さるとこちらも安心できます。もしも知人で法的手続きで困っている人がいたらぜひ紹介したいと思います。この度は有難うございました!

M様、どうもありがとうございました。

Q012 死亡保険金は相続財産として遺産分割の対象になるのか

Q 先日、夫が亡くなりました。夫は再婚で、先妻との間に娘さんが1人いますが、後妻である私との間に子供はいません。
夫は自分を被保険者とし、受取人を私に指定した死亡保険をかけていました。
この保険金は手続きをして私がすでに受け取っているのですが、やはり先妻との間の娘さんと話し合って分割しなければならなのでしょうか。

 

A このケースならば、よほど不公平でない限り、この生命保険金はあなた自身の固有の財産として受け取ることができます。遺産には含まれず、先妻との間の娘さんと話し合う必要もありません。

 

生命保険金は相続財産として遺産分割の対象になるのか

生命保険金は、『保険金受取人』が誰かによって、相続財産に含まれるのか含まれないのか(遺産分割協議の対象になるのかならないのか)が変わってきます。

 

(1)故人が、契約者=被保険者=保険金受取人の場合
相続財産になります
この場合は、故人が自分のためにかけた保険であると言えます。
そのため、このような生命保険金は故人の相続財産(遺産)に組み込まれ、遺産分割の対象となり、各相続人は、遺言や相続人の間でまとめた遺産分割協議に従って生命保険金を取得することになります。
定期保険や終身保険のような『死亡保険金』では、このような契約は通常考えられません。しかし、たとえば医療保険やガン保険の『入院保険金』などを、被保険者の死後に遺族が受け取るような場合がこのケースにあたります。

 

(2)故人が契約者=被保険者で、保険金受取人に『特定の人』を指定していた場合
相続財産になりません
この場合、生命保険金は故人の相続財産に組み込まれず、保険金受取人として指定された『特定の人』が固有の保険金請求権を持つことになり、『特定の人』が生命保険金を受領することになります。よって遺産分割の対象になりません。
相続財産ではないので、家庭裁判所で相続放棄の申述を受理された場合でも受け取ることができます。

今回のご相談者の事例はこのケースになります。最近の死亡保険では、このように『特定の人』が死亡保険金の受取人として指定されるのが通例です。

とはいえ、相続人のうちの1人が『特定の人』として生命保険金全額を受領した場合に、それが他の相続人から見て明らかに不公平なケースでも、遺産分割の対象にしなくていいのでしょうか?

この点については、「それでも遺産分割の対象にする必要はない」というのが答えです。

ただし、「遺産に占める生命保険金の割合がすごく高かったり、再婚してからの同居期間が短いなど、被相続人との関係が薄いのに保険金をたくさん受け取ったりしていると、遺産分割の際に分け前が減ったりゼロになったりすることがある」ということができます。これは「死亡保険金は特別受益となるか」という問題で、この点についてはQ067 死亡保険金は特別受益にあたるのかで詳しく解説します。

なお、生命保険金は遺留分算定の基礎にも含まれません(平成14年11月5日最高裁判決)。

 

(3)故人が契約者=被保険者で、保険金受取人が単に『相続人』の場合
相続財産になりません
少し古い生命保険契約では、死亡保険金受取人に特定の人が指定されず単に『相続人』となっている場合があります。
このような死亡保険契約は、「私が死んだら、その時点の相続人に保険金を払ってください」というものですから、やはり相続財産に組み込むのは不自然です。したがって各相続人が固有の保険金請求権を持つことになります。
相続財産ではないので、家庭裁判所で相続放棄の申述を受理された場合でも受け取ることができます。

この場合、その受取割合については、次の順番で考えることになります。

1)保険会社の契約約款で定めている割合
『均等割合』とされていることが多いようです。この場合、相続分とは関係なく、単純に保険金額を相続人の人数で割った額になります)

2)契約約款に定めがなければ、原則として相続分(法定・指定)に応じて分割
(平成6年7月18日最高裁判決)
「保険契約において保険契約者が死亡保険金の受取人を被保険者の『相続人』と指定した場合は、特段の事情がない限り、右指定には、相続人が保険金を受け取るべき権利の割合を相続分の割合によるとする旨の指定も含まれていると解するのが相当である」

生命保険金の受取りは”税”のことも気にしなくてはなりませんが、長くなりましたので別の機会に改めて記事にしたいと思います。

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お客様の声10 W様

お客様の声10 W様

先日は大変、お世話になりました。
父が亡くなり、悲しむ暇もなく手続きなどに追われ、何をどうしていいかわからず大変困っておりました。市役所、郵便局等で事務的に教えて頂くなか、やっと、ひびき事務所様に辿り着くことができました。
何もわからなく、不安な私達に、わかり易く説明して頂いて、母も私も、伺って良かったと心より感謝しております。
もしご近所で、この様なことで相談を頂いたら、迷わず御社様をご紹介させて頂きたいと思います。

W様、どうもありがとうございました。

Q011 遺産になるもの・ならないものとは(相続財産)

Q 夫が亡くなり、遺産の整理を始めるところです。
遺産を分けるには相続人全員で協議する必要があると聞いているのですが、どこからどこまでの財産を遺産として分けるのか、よくわからずに困っています。

A  我が国では、故人の遺産はプラスの財産もマイナスの財産も、いっさいがっさい相続人が引き継ぐ仕組みになっています。
ただし、「法律上は遺産にならないけれども、相続税の計算では遺産として考えるもの」もあれば、反対に「法律上は遺産として考えるけれども、相続税の計算には含めないもの」もあり、正確に理解するには骨が折れます。

とはいえ、遺産をきちんと整理するためには、遺産になるものを洗い出して、これを時価評価し、目録(遺産目録)にすることが欠かせません。遺産目録があれば遺産分けの話し合いもしやすく、相続税の手続きが必要かどうか判断するのにも役立ちます。

基本的なことについては、当相続あんしん相談室ホームページで記事にしていきますが、 遺産の範囲について迷ったら、弁護士や司法書士に相談されると良いでしょう。

 

相続財産(遺産)とは

遺産相続は、被相続人の死亡の時からはじまります。
そして、その死亡の時を基準として、被相続人が保有していた財産のことを『相続財産』とか『遺産』といいます。

日本の民法では、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と定めています(民法896条・包括承継主義)。わかったようなわからないような文章ですが、ポイントは、被相続人の死亡時を基準として、相続人は、権利だけではなく義務も承継するという点です。

つまり、相続財産には、土地やマンションなどの不動産・現金・預貯金や株式などのプラスの財産だけだけではなく、借金や税金等の支払い義務や、保証人としての義務も含まれており、いっさいがっさい、相続人はこれらを承継することになるのです。

相続財産の例(遺産)相続財産の例(負債)

 

相続財産(遺産)に含まれないもの

遺産相続が、”いっさいがっさい権利も義務も承継する”といっても、民法上、相続財産から除外されているものもあります。

1)墓、位牌、仏壇など
→祭祀を承継する者が引き受けることになり、相続財産には含まれません。

2)一身専属権(いっしんせんぞくけん)
→一身専属権とは、ある人しか権利を持つことが性質上できない権利のことをいいます。遺産相続には性質上合いませんので、そもそも除外されています。
この具体例としては、年金請求権や扶養請求権、生活保護受給権などがあります。

3)身分上の権利
→婚約していた相手が亡くなったような場合に、当たり前のことですが、婚姻する権利を相手の相続人に請求するようなことはできません。このように、財産権ではない身分上の地位や権利については、そもそも遺産相続の対象になりません。

 

法律上は遺産にならないけれども、相続税の計算では遺産として考えるもの

下記の財産は、法律的には相続財産(遺産)ではないため、原則として遺産分けの対象にはなりませんが、相続税の手続きでは相続財産に含めて計算します。

1)税法上のみなし相続財産
代表的なものが『死亡保険金』と『死亡退職金』です。
どちらも原則として「受取人固有の財産」とされ、本来の相続財産からは除外されるため遺産分割の対象になりませんが、相続財産に準じるものとみなされて相続税の課税対象にはなるので、(税法上の)『みなし相続財産』と呼ばれます。

もっとも全額が相続財産になるわけではなく、非課税限度額を超えた部分だけが相続財産に加算されます(詳細は別の記事で・・・)。

なお、死亡保険金は、契約形態によっては本来の相続財産に含まれてしまい、遺産分けの対象になることがあります。

2)生前贈与された財産のうち一定のもの
故人の死亡時にすでに生前贈与されていた財産は、本来、相続財産(遺産)には含まれませんが、贈与財産のうち次のものは相続税の課税対象になります。
もっとも、贈与時に納付済みの贈与税があれば相続税から差し引くことができ、納付済みの贈与税が相続税額よりも大きければ、差額は還付されます。

(a)死亡前3年以内に贈与されていた財産
たとえ年額110万円以内の贈与で贈与税が課税されないものであっても、それから3年以内に贈与者が死亡した場合には、相続税の課税対象になってしまいます。

ただし、『居住用不動産にかかる贈与税の配偶者控除』を受けた財産の場合には、死亡前3年以内にもらった場合でも相続税の対象にはなりません。

(b)相続時精算課税制度によって贈与された財産
相続時精算課税制度の届出をしていた贈与財産は、相続税で贈与税を精算しますので、相続税の課税対象になります。

 

法律上は遺産として考えるけれども、相続税の計算には含めないもの

相続人の中で、故人から特別の利益を受けていた人がいる場合には、これを遺産の前渡しとして贈与価額を相続財産の価額に加えて、そのうえで遺産分けをします。これが民法で『特別受益の持戻し』と言われているものです。

この特別受益の持戻しは、贈与者の死亡よりもかなり前に行われていた場合でも対象になるため、相続税の課税対象にはならない場合でも遺産分けのときには考慮する必要があります(特別受益を受けた相続人は、すでに贈与済みの財産を返す必要はありません。遺産の取り分が減るだけです)。

本来の相続財産にこの特別受益の持戻しを加えたものを、(民法上の)『みなし相続財産』といいます。

『みなし相続財産』には、税法上のものと民法上のものと二通りあり、実にややこしいですね。

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お客様の声09 B様

お客様の声09 B様

以前、家を建てた際に司法書士の先生にお世話になりました。登記などの手続きをお願いしたのですが、業者からの紹介であったためか、機械的に作業が進んでいった記憶があります。
今回、ひびき事務所にお願いしましたが、私が抱いていた印象とは違うものでした。作業の手順、意味、費用などについて、分かりやすい説明があり、土地の贈与に係る贈与者(義父母)に対しても納得のいく説明ができました。
不動産や法律的な知識を詳しく知らない一般の生活者にとって、その手続きを安心してお任せするには、分かりやすさと信頼感だと思います。
今後も、私自身、法律的な部分でお世話になる機会があると思いますし、知人等へも、同様な悩みをお持ちの方がいたら、ひびき事務所をお薦めしたいと考えています。

B様、どうもありがとうございました。

Q010 相続人が誰もいないとき(相続人不存在・特別縁故者)

Q 私は独身を通してきて、子はおらず、きょうだいもいません。
ずっと働いていましたので家や預金などはありますが、私の死後この財産はどうなってしまうのでしょうか?

 

A このまま何もしなければ国の財産になりますが、お世話になった人などに財産が渡ることもあります。
特定の人や団体に財産を引き継いでもらいたいというご意思があるならば、遺言書による『遺贈』が有効です。

 

『相続人の不存在』とは

どなたかがお亡くなりになったときに相続人が誰もいない場合には、民法の『相続人不存在』の規定が適用され、持ち主がいなくなってしまった財産は、最終的には国のものになります。

相続人不存在とは、次のような場合があてはまります。
(1)戸籍謄本などの記載から、相続人に該当する人がいない場合
(2)相続人全員が家庭裁判所で相続放棄の申述をした場合

誤解が生じやすいところですが、「相続人はいるけれどもどこにいるかわからない」という場合は『相続人不存在』ではなく、『失踪宣告』や『不在者財産管理』という別の手続きになります。

 

相続人不存在の場合の手続き

相続人不存在の手続き

相続人不存在の場合には遺産の持ち主がいなくなってしまうので、ひとまず死亡と同時に一種の財団法人のようなものが成立したことにして、家庭裁判所が選任した『相続財産管理人』という人(弁護士・司法書士等)に遺産の清算手続きが任せられます。

相続財産管理人は、故人の遺産を整理して負債や支払いを済ませるいっぽうで、本当に相続人や遺言で財産をもらった人(受遺者)がいないか調べます。

誰も相続人・受遺者として名乗りでなければ、残った財産は国のものになります。

ただし、故人と特別な関係にある人に対しては、遺産を分与する制度があります。
これが『特別縁故者』という制度です。

 

特別縁故者とは

相続人不存在の場合、故人と特別な関係がある人は遺産の分与を受けられる可能性があります。それでは、どのような人が特別縁故者にあたるのでしょうか。

条文(民法958条の3)では「被相続人と生計をともにしていた者」「被相続人の療養看護に努めた者」をあげていますが、これは例示ですので、このような人に限るわけではありません。
特別縁故者は、血縁関係の有無を問わず、団体でも認められることがあります。
審判で認められたケースには、次のようなものがあります。

・長年連れ添った内縁の妻
・事実上の養子
・故人が財産を取得するときに多額の支援をした継母
・故人と長年親交があり、献身的な漢語をした教え子
・故人の芸道の弟子
・故人の菩提寺
・故人が世話になった介護施設
・宗教法人

多くの場合、故人の身辺の世話をしたり、葬儀等を主宰したりしたことや、故人によって生計を維持していたこと等が特別縁故者と認められる要因になっているようです。

反対に、次のような人は特別縁故者ではないと判断されています。
・親族であっても特に身辺の世話をしていない人
・葬儀は行ったけれども生前に何もしていない人
・生前の交際が愛人関係にすぎない場合
・故人の介護をしても、相応の報酬を受領している場合

特別縁故者への遺産分与は、当然の権利として与えられているものではなく、家庭裁判所が「遺産を分与するのにふさわしい」と判断した場合にだけ、例外的に認められるものです。そのため、次のような特徴があります。

(1)特別の縁故があったと考える人は、一定の期間(上の表をごらんください)内に家庭裁判所に審判の申立てをする必要があります。

(2)縁故の内容や濃淡、年齢・性別・職業・教育程度、遺産の種類や額・内容・状況・所在などのいろいろな事情を考慮して、家庭裁判所が遺産を分与するかどうか決めます

(3)分与される遺産は、遺産全部のこともあれば、一部のこともあります。また、遺産をそのまま分与されることもあれば、お金に換えてから分与されることもあります。

ご相談者のように相続人がいない方は、万一の事があれば、遺産は基本的に国に持っていかれてしまいます。もし特定の方に財産を残したいという場合や、特定の団体に寄付をしたいという場合には、遺言書を作成し、「遺贈」という方法で確実に思いをかなえることができます。いかがでしょうか。

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2013年10月16日 | カテゴリー :

Q009 浪費家の息子に相続させたくない場合は(推定相続人の廃除)

Q 長男は、私たち夫婦にひんぱんに暴力を振るいます。
ギャンブル好きで浪費も激しく、嫁は孫を連れて出て行ってしまいました。
どうせ浪費されてしまうとわかっているので、長男には私たちの財産を遺すつもりはありません。
けれども、長男の子である孫には遺してあげたいのです。
なにかいい方法はないでしょうか。

 

A 推定相続人の廃除の請求を家庭裁判所で行う方法がありますが、ご長男に知られると報復される危険がありますので、遺言を作り、遺言の中で廃除の意思表示を行うことをおすすめします

遺言で廃除の意思表示をせず、「長男に遺産は渡さない」という遺言を書くだけでは、ご長男にも遺留分があるので遺産の一部が渡ってしまいます。必ず廃除の意思表示を遺言に残すようにしてください。

遺言で廃除の意思表示をしておけば、あなた方に万一の事があったら、遺言執行者が家庭裁判所に廃除の請求をします。これが家庭裁判所によって認められれば、ご長男は遺留分も剥奪され、遺産がご長男に行くことはありません。

 ご長男が相続人から廃除された場合には代襲相続となり、お孫さんが代襲相続人になります。せっかく遺言を作るのですから、遺言で他のご子息やお孫さんへの遺産の配分を指定しておいてはいかがでしょうか。

なお、廃除を家庭裁判所が認めるハードルは、結構高いです。暴力の内容や日時など非行の形跡をメモし、第三者の証言やけがをしたときの診断書など証拠となるものは押えておく必要があります。また、廃除の理由については遺言書に書くのは簡潔にとどめ、詳しい内容は公証役場の宣誓認証を活用します。

 

推定相続人の廃除とは

将来のあなたの相続人となる人(『推定相続人』といいます)の中に、自分の遺産を相続させたくない者がいる場合には、家庭裁判所に請求して相続権を剥奪することができる制度です(生前廃除、民法892条)。

廃除は遺言ですることもできます(民法893条)。この場合、遺言執行者が家庭裁判所に廃除の請求をします。

なぜ「廃除」で「排除」ではないのか、という質問をされることがありますが、単なる法律用語です。理由は私も知りません・・・

 

廃除の要件

(1)廃除の対象になる人

廃除の対象になるのは、遺留分を有する推定相続人に限られます。
言い換えれば、兄弟姉妹以外の推定相続人に限られます。
兄弟姉妹が推定相続人となる場合、兄弟姉妹には遺留分がないので、相続させたくない人には遺言でその相続分を0にしたり、全財産を第三者に遺贈したりすることができるので、廃除の対象になりません。

遺留分放棄をした人も廃除の対象になりません。

 

(2)廃除事由

廃除をするためには、下記の事由のどれかにあてはまらなければなりません。

(a)推定相続人が被相続人に対して虐待をしたこと
(b)推定相続人が被相続人に対して重大な侮辱をしたこと
(c)推定相続人にその他の著しい非行があったこと

ただし、これらの事由に該当する場合でも、そもそもの原因を被相続人が作り出したような場合や、一時の激情に駆られたような場合には、判例は廃除請求を認めていません。
また単なる素行不良や浪費といった事実だけでも判例は廃除の請求を認めません。
家庭裁判所における廃除のハードルは、結構高いのです。
廃除の請求を行う場合には、弁護士や司法書士に必ず相談するようにしてください。

ご参考 平成4年12月11日東京高等裁判所決定
「民法第892条にいう虐待又は重大な侮辱は、被相続人に対し精神的苦痛を与え又はその名誉を毀損する行為であって、それにより被相続人と当該相続人との家族的協同生活関係が破壊され、その修復を著しく困難ならしめるものをも含むものと解すべきである。」

 

廃除の効力

廃除の審判の確定によって、その相続人はただちに相続権を失います。
遺言による廃除等の場合には、廃除は被相続人の死亡の時にさかのぼって相続権を失います。

ただし、相続欠格と異なり、遺贈を受けることはできます。

廃除の効果は、廃除された人と被相続人との間の相続に限って生じます。廃除されても他の被相続人との関係では相続権を失いません。
ご相談者の事例では、ご夫婦ともに廃除の意思表示をしておく必要があります。

また、廃除によって代襲相続が生じます(民法887条2項)。
ご相談者の場合、ご長男に子供がいるようですので、相続権はご長男を素通りしてお孫さんに行きます。この点は間違いやすいので注意が必要です。

廃除の審判が確定すれば、市町村役場に戸籍の届出を提出し、推定相続人から廃除された旨が記載されます。
従いまして、廃除の事実は戸籍謄本によって証明することが可能です。

 

廃除の取り消し

廃除を取り消したいときには、いつでも家庭裁判所に廃除の取り消しを請求できます(民法894条)。
廃除の取り消しの意思表示も遺言ですることができます。

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2013年10月11日 | カテゴリー :

お客様の声08 K様

お客様の声08 K様

1.費用はどのくらいかかるのか、また期間がその位かかるのか不安でしたが、わかりやすく説明していただき安心しました。
2.第一印象はとても良かったです。
3.説明はわかりやすく、ていねいでした。またアドバイスが適切であった。
4.母親が亡くなり、遺言に基づき、財産の名義変更が出来安心しました。父親もホットしています。
5.友人等、他に法的手続などで困っている人があれば紹介します。

ありがとうございました。

 

K様、どうもありがとうございました。

Q008 遺言書を破り捨てた弟は相続人になるのか(相続欠格)

Q 先日父が亡くなりました。相続人は母・私・弟の3人です。
弟は以前から父に迷惑ばかりかけていたので、父は生前に遺言書を書いていました。
しかし、父が亡くなってから、その遺言書を弟が破り捨ててしまいました。
このような場合でも弟は相続人になるのでしょうか。

 

A あなたの弟さんは『相続欠格』という決まりによって、相続人になれない可能性があります。
ただし、弟さんに子供がいる場合には代襲相続となりますのでご注意ください。

相続欠格とは

本来ならば相続人となる人でも、その人に相続権を与えることが一般人の感覚として不適当な場合に、法律上当然に相続人の資格を失わせる制度のことを『相続欠格』といいます。

どのような場合に相続欠格にあたるかは民法で決まっており、これを『相続欠格事由』といいます。
この『相続欠格事由』は、大きくわけると2つのグループにわかれます。1つは故人などの生命を侵害する行為、もう1つは故人の遺言に関する不当な行為です。

相続欠格事由その1 故人などの生命を侵害する行為

被相続人などの生命を侵害するような行為をした相続人は、相続欠格事由にあたり、相続権を失います。

相続人が故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、 又は至らせようとしたために、 刑に処せられた場合 (民法891条1号)

被相続人に対する殺人や殺人未遂・殺人予備の罪で確定有罪判決を受けた場合には、相続欠格事由となり、相続権を失います。
「故意に」とされているので、過失致死罪や傷害致死罪の場合は相続欠格事由となりません(大正11年9月25日大審院判決)。 また、相続開始後に有罪判決が確定した場合には相続欠格事由に該当するという古い判例があります。

有罪の判決に執行猶予がついた場合、猶予期間を無事に終えれば刑に処せられなかったことになるので、相続欠格事由にはなりません。

被相続人だけでなく、先順位・同順位の相続人に対する殺人等の罪で有罪判決を受けた場合にも、相続欠格事由に該当します。
たとえば、亡父を相続する場合で、相続人にあたる母や他の子(殺害者のきょうだい)を殺害した者は、相続欠格事由にあたり相続権はありません。

相続人が、被相続人の殺害されたことを知って、 これを告発せず又は告訴しなかった場合(民法891条2号)

被相続人が殺害された場合に、相続人がその犯人を知っていたにもかかわらず、捜査機関に告訴・告発しなかった場合も相続欠格事由に該当します。
ただし、次の例外があります(民法891条2号但し書き)。
(1)その相続人に是非の弁別がつかないとき
(2)殺害者がその相続人の配偶者や直系血族(親や子供)であったとき
(加害者が相続人の近親者であるときは、人情的に告訴・告発を強制できないので例外とされています)

犯罪が発覚して捜査が開始された後は、 告訴・告発しなかった場合でも欠格事由にあたりません。

 

相続欠格事由その2 故人の遺言に関する不当な行為

被相続人の遺言に関して次のような行為があった場合、その行為をした相続人は、相続欠格事由に該当し、相続権を失います。

詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた場合 (民法891条3号)

『相続に関する遺言』とは、相続人の範囲や相続財産に影響を与える遺言のことです。
相続欠格という制度は、相続で不当な利益を得ようとしたことに対する制裁ですから、相続を自分の有利にしようとする意思がなければ相続欠格事由にはならないと考えられています。

詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、 これを取り消させ、 又はこれを変更させた場合 (民法891条4号)

相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した場合 (民法891条5号)

『偽造』とは、被相続人の名前で勝手に遺言書を作ることです。
『変造』とは、書き加えたり削ったりして遺言書の内容を改ざんすることです。
『破棄』とは、遺言書を破り捨てたり塗りつぶしたりすることです。
『隠匿』とは、遺言書の発見を妨げることです。
このような行為は相続欠格事由に該当し、相続権を失います。

なお、遺言書の破棄・隠匿について、破棄・隠匿する意思の他に、相続に際して不当な利益を得ようとする目的が必要かどうかという点が争われたことがあり、この点について最高裁は『必要』と判断しました(平成9年1月28日判決)

 

相続欠格の効果

相続欠格事由に該当した相続人は、法律上当然に相続権を失います(民法891条)。特別な手続きは必要ありません。
遺贈を受けることもできません(民法965条)。
相続欠格者が事実上遺産を相続してしまっている場合には、他の相続人は表見相続人に対する相続回復請求をすることになります(民法884条)。

相続欠格によって代襲相続が生じます(民法887条2項)。
ご相談者の場合、相続欠格者である弟さんに子供がいる場合には、相続権は弟さんを素通りしてその子(お父さんから見れば孫)に行きます。この点は間違いやすいので注意が必要です。

なお、相続欠格によって相続権を失うのは、特定の被相続人に対する関係だけに限定されます。
ご相談者の場合、父親の書いた遺言書を破棄した弟さんは、父親の相続については相続権を失う可能性がありますが、将来母親の相続が発生した場合には、母親の相続人になることはできます。

ところで、相続欠格によって当然に相続権を失うといっても戸籍にのるわけではありませんので、確定有罪判決がないケースでは客観的に証明する方法がないことになります。
そのため、不動産登記や銀行窓口などの手続きをするときに、相続欠格の事実をどのように証明するかが問題になります。

不動産登記の場合、相続欠格者自身が作成した自分が相続欠格者であることを認める書面を添付(印鑑証明書付き)することで手続きが可能となりますが、実際上の問題として相続欠格者がこのような書面を書いてくれる可能性は非常に低いと考えられます。
この場合、裁判を起こして相続欠格者に該当することを確認する判決を得て、その判決書を添付することになります。
もっとも、パターン2の遺言書に関する不当な行為がある場合には訴訟等になるケースが多いでしょうから、実際に問題になることは少ないようです。

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2013年10月9日 | カテゴリー :

お客様の声07 K様

お客様の声07 K様

迅速に処理していただき、ありがとうございます。

K様、どうもありがとうございました。