Q136 相続税の申告が必要かどうかを確認する方法は?

【Question】

父の遺産について、相続手続きを進めています。
遺産の内容は、父が住んでいた自宅と預貯金が主で、ほかに生命保険金を受け取っています。

相続税は相続発生から10ヶ月以内に申告しなければならない、ということは承知しています。
でも、「遺産の額が相続税の基礎控除額に達していなければ、そもそも相続税の申告は必要ない」ことも知っています。

そこで、相続税の申告が必要かどうかを自分で確認したいのですが、何か良い方法はないでしょうか。

 

【Answer】

まずは税務署や税理士事務所に相談してみると良いと思いますが、国税庁のホームページに『相続税の申告要否判定コーナー』というページが開設されましたので、これを利用してみる方法もあります。

 

 

【Reference】

2015年から、相続税の基礎控除額が引き下げられました(詳しくはQ046)。
そのため、今までであれば相続税がかからなかったけれども今後は相続税の課税対象となるという方が、特に大都市部を中心に増加すると見込まれています。

相続税の申告が必要になるくらい遺産が多いと、相続発生から10ヶ月以内に相続税の申告をしなければなりません。もしも期限内に申告・納付をしないと延滞税がかかるだけではなく、配偶者控除や小規模宅地の特例のように納税者に有利な控除・特例が利用できなくなるおそれがあります。

そこで、相続税の申告漏れがないように、国税庁・税務署は積極的に注意をうながしています。その一環として、国税庁ホームページの中に「相続税の申告要否判定コーナー」が開設されました(2015年5月11日現在、なぜか直接リンクを貼れないので、入り口のページはこちらです。入り口が変わったらごめんなさい)。

相続税申告で遺産総額をはじき出す際、土地の路線価を計算するところがなかなか厄介ですが、このコーナーでは単純なものであれば土地の路線価も計算してくれます。また、死亡保険金・死亡退職金の控除も自動計算です。

 

利用上の注意

このコーナーですが、相続税の税額は計算してくれません
相続税の税額は、遺産総額がわかれば自動的に税額が決まる、というものではないからです。遺産の分け方や各種控除・特例の組み合わせによって税額が大きく変わるので、遺産総額だけでは税額まで計算することができないのです。

「税額がわからないのでは意味がない」と感じる方も多いかもしれません。しかし、申告期限を過ぎてしまうと納税者側がかなり不利な取り扱いを受けるのは間違いありませんから、まず「相続税の申告が必要かどうか」をチェックするということが重要です。

また、当然のことながら、入力したものしか計算の対象になりませんから、入力を漏らしてしまえばそれまでです。「名義預金」「定期金に関する権利」なども故人の遺産には違いがありませんから、このコーナーの利用はあくまでも自己責任です。
不安があるならば、やはり専門家の助けを受けたほうが良いでしょう。

 

ちなみに当事務所でも『相続税課税判定ブック』という冊子を、前に作ってお客様に配布していたことがあります。
これは冊子なので計算機を使わなければなりませんが、コンセプトそのものは国税庁の『相続税の申告要否判定コーナー』と同じです。
当事務所の『相続税課税判定ブック』をプログラム化して、自動計算できるようにしようと考えていたのですが、どうやら国税庁に先を越されてしまいました。

 

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2015年5月11日 | カテゴリー :