Q063 退職金を年金形式で受給中に、相続が発生したら?

【Question】

夫が会社を退職するときに、退職金2,000万円のうち半分の1,000万円を一時金で受けとり、残りの半分の1,000万円を10年間の年金形式で受けとることにしていました。

夫はこの年金を5年間受けとりましたが、先日死亡しました。
残りの5年分の年金は遺族である私が受け取ることになりますが、これは相続税の対象になるのでしょうか。
なお、一時金は退職所得として、受け取り済みの年金は雑所得として、それぞれ申告済みです。

 

【Answer】

あなたが受け取ることになる退職年金は『契約に基づかない定期金に関する権利』であり、みなし相続財産として相続税の課税対象になります(相続税法3条1項6号)。

なお、今後あなたに支給される退職年金は、所得税が非課税になります(所得税法9条1項3号ロ、所得税基本通達9-2)。

 

【Reference】

退職年金も相続税の課税対象

企業年金制度のある会社では、退職金の一部を年金形式にして受け取ることができます(いわゆる『退職年金』)。
また、公務員の共済年金の職域部分は、現行では公的年金たる共済年金の一角として支給されていますが、今後は職域部分が廃止され『年金払い退職給付』への移行が予定されており、こちらは退職金の一部を年金形式で受け取るという点で企業年金と似た制度になっていくようです。

さて、このような退職年金を受け取っている人が亡くなった場合、遺族(継続受取人)がこれを引き継ぐことになります。
退職年金を受給する権利は財産的価値がありますから、みなし相続財産として相続税の課税対象になるのです。

 

退職年金は定期金に関する権利として評価される

退職年金を受けている人が死亡したら、故人の相続人等が退職年金を継続して受けることとなり、その年金を受給する権利は、その継続受取人となった遺族が相続又は遺贈により取得したものとみなされます(相続税基本通達3-29、相続税法3条1項6号『契約に基づかない定期金に関する権利』)。

そして、この退職年金を受給する権利は、『定期金に関する権利』として評価します。
具体的には、その評価方法はQ060 定期金に関する権利の評価方法となります。今回のご相談では有期定期金として評価することになります。

このようにして定期金として評価した額と、その他の相続財産の価額を合算した結果、相続税の基礎控除を上回る場合には相続税申告が必要になります。

なお、死亡退職金にある「500万円×法定相続人」の非課税枠は適用されませんのでご注意ください。

 

遺族に支給される退職年金は雑所得にはならない

なお、遺族に支給される退職年金は、雑所得とならず、所得税が非課税になります(所得税法9条1項3号ロ、所得税基本通達9-2)。

 

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2014年2月14日 | カテゴリー :