【Question】
実家は東京なのですが、兄は仙台に、私は大阪に住んでいます。
父にもしものことがあったら、相続税の申告をすることになりそうです。
そうなった場合、私は、住んでいる大阪で、自分が相続した財産についてのみ申告をすればいいのでしょうか。
【Answer】
まず、相続税の申告書を提出する先は、相続人の住所地ではなく、被相続人が亡くなったときの住所地を所轄する税務署です。あなたの場合は東京になります。
次に、相続税額の計算方法は、相続人それぞれが実際に取得した財産に直接税率をかける、という単純なものではありません。
『課税遺産総額から相続税の総額をはじき出し、これを相続人ごとに実際に取得した財産の割合に応じて比例配分する』というものですから、相続財産が全体でどのくらいあるのかを明らかにしなければ税額を求めることができず、相続税の申告をすることもできない仕組みになっています。
従いまして、相続税の申告はあなた一人で済ませるのではなく、ごきょうだいで協力して行うのが基本です。
【Reference】
相続税の申告書の提出先
相続税の申告書を提出する先は、被相続人が亡くなったときの住所地を所轄する税務署(正確には税務署長)です。相続人の住所地を所轄する税務署ではありません。
相続税の申告書の提出期限
相続税の申告書の提出期限(申告期限)は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10ヶ月目の日、です。
たとえば、亡くなったのが6月10日ならば、申告期限は翌年4月10日になります。ただし申告期限の日が土日祝日にあたるときは、これらの日の翌日まで申告期限が延びます。
申告期限よりも遅れて申告書を提出した場合には、無申告加算税という重いペナルティがあります。
なお、申告期限に間に合わないと、原則として配偶者控除や小規模宅地の特例を受けることができません。
そのため、「遺産総額が基礎控除額を超えるけれども、特例の適用によって税額を0にしたい」という場合には、結果的に税金を納めなくても申告する必要があります。ご注意ください。
また、申告期限内に手続きを取らないと、延納や物納の適用が認められません。
相続税の申告書の提出方法
相続税の申告書は、同じ被相続人から相続・遺贈などによって財産を取得した人が共同で作成して提出するのが基本です。
なぜなら、相続税額を計算するには、『課税遺産総額から相続税の総額をはじき出し、これを相続人ごとに実際に取得した財産の割合に応じて比例配分する』必要があり、相続財産が全体でどのくらいあるのかを明らかにしなければ税額を求めることができず、相続税の申告をすることもできないからです。
しかし、どうしても共同で作成して提出することができなければ、個別に申告書を提出することも可能です。
また、相続人の間で遺産分割(誰がどの遺産を承継するかを決めること)が終わらないと、正確な相続税額を求めることができない構造になっています。それでは、相続人間でもめてしまい、申告期限内に遺産分割ができない場合にはどうなるでしょうか?
この場合には、簡単にいえば、民法が定める相続分(法定相続分)に応じて遺産分割をしたものと仮定して、とりあえず各相続人が相続税を納めます。そして、遺産分割が完了した後に、実際に承継した財産と法定相続分とを比べ、その差に応じた相続税の追加納付または税還付によって精算することになります。
相続税の納付
相続税の納付期限は、申告期限と同じく、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10ヶ月目の日、です。
納付場所は最寄りの金融機関(銀行や郵便局等)または所轄の税務署です。電子納税(e-tax)を利用して納めることもできます。
納付方法は、現金一括払いが原則です。
申告期限までに手続きを取れば『延納・物納』が認められることもありますが、基本的に納税者に有利な制度ではありません。
期限よりも後に納付すると、延滞税という重いペナルティがあります。
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