Q041 相続人の中に未成年者がいる場合の遺産分割協議は?

【Question】

私と小学生の子供2人を残して、夫が亡くなりました。
住宅ローンは団信に入っていたので清算されましたが、残された自宅は私名義にしようと考えています。子供たちがまだ幼いので、私が親権者として遺産分割協議書に署名捺印すればいいのでしょうか。

 

【Answer】

親権者は未成年者である子の財産管理権を有しますが、未成年の子がいるご夫婦の一方が亡くなった場合の遺産分割協議では、配偶者は未成年の子の親権者として、子を代理して遺産分割協議をすることはできません。
家庭裁判所で未成年者の特別代理人を選任してもらい、その特別代理人が未成年の子を代理して遺産分割協議に参加することになります。子が2人ならば特別代理人も2名選任してもらう必要があります。

家庭裁判所に特別代理人の選任を求める場合、遺産分割協議書の案を添付します。このとき、未成年者の相続分には十分な配慮をすることを求められます。なるべく司法書士のサポートを受けることをおすすめします。

 

【Reference】

通常、親権は未成年の子に代わって親権者である父と母が共同で行使するのですが、このケースでは父が亡くなっているので、親権者は母だけ、ということになります。

すると、父の遺産について分割をする母は、子の親権者としても協議に参加することになって、母の立場と子の親権者としての立場が衝突します。これを「利益相反(りえきそうはん)」といいます。

このような利益相反関係にある場合、遺産分割をする前提として、家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申し立てます。

申し立てのときに特別代理人の候補者を用意して申し立てるのが通常ですが、この候補者は誰でもかまいません。一般的には未成年者のご親族とすることが多いです。

ただし、申し立ての時に遺産分割協議書の案を用意するのですが、遺産分割に参加することができない未成年者の権利を守るため、未成年者の法定相続分を確保した分割協議書案でないと家庭裁判所は認めてくれません。

また、分割協議書案に記載された財産について、資料の提出を求めてくる家庭裁判所も少なくありません。

特別代理人選任の申し立てにあたりましては、なるべく司法書士のサポートを受けられることをおすすめします。

 

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