Q044 遺産分割でもらった遺産に不足や問題があったら?(共同相続人間の担保責任)

【Question】

遺産分割協議がまとまって、私は登記簿上で40坪(時価2,000万円相当)の土地を受け継ぐことになりました。ところが、この土地を実際に測量してみたところ35坪しかありませんでした。5坪足りませんから、私は250万円ぶんの損をした気持ちです。このような場合に遺産分割協議をやり直すことは可能なのでしょうか?

 

【Answer】

状況からすると遺産分割に無効事由があるとは言えないと考えられます。
相続人全員が合意すれば、成立した遺産分割協議を解除してやり直せる可能性はありますがあまり現実的とは言えず、課税の問題もあります。

このような場合には、民法の規定により他の共同相続人に対して不足額の補償を求めることができます。
ただし、補償を求めることができるのは『相続財産に問題があることを知ったときから1年間』に限られます。

【Reference】

遺産分割協議の結果ある相続人に分配された遺産が、協議のときに見積もっただけの価値がないことが後になって判明することがあります。
たとえば、次のような場合です。
1)遺産の数量に不足がある場合(ご相談のケース)
2)相続財産の一部が他人のものだった場合
3)分配した財産の上に実は担保がついていて、権利を失った
4)遺産に、分割時には分からなかった問題・キズがあり、評価どおりの価値がなかった

このような場合に遺産分割協議を無効としてやり直しを他の相続人に求めることができるかというと、これは難しいと言えます。遺産を分割するという協議の目的そのものは達成されていますし、落ち度のない他の相続人に再度の遺産分割を強いることは望ましくないからです。

そこで、このような場合には、他の共同相続人に対して補償を求めることができます。これを『共同相続人間の担保責任』と言います(民法911条)。

この補償は、他の相続人に過失が無くても当然に認められます。不公平を是正するための救済措置だからです。

他の共同相続人が2名以上いるならば、民法911条で損失負担の割合は相続分の割合に応じて負担するとなっています。
しかし、法定相続分どおりに分割されていないならば、遺産分割の際の評価に従い、現実に分配された財産価値の割合に応じて損失も配分する(”具体的相続分”に応じた配分)のが公平であると言えます。

したがって、共同相続人のうちの一人が相続財産の「全部」を引き継いだ場合には、遺産の中に価値が足りないものがあっても、他の相続人に補償を求めることはできないのは当然です。

他の共同相続人に補償を請求できるのは、期限があります。
その期限は、財産を受け継いだ相続人が上記のような問題があることを知った時から1年間です。
落ち度のない他の相続人にいつまでも責任を負わせるのは酷であるからです。

ご参考 民法911条
各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。

(共同相続人間の担保責任は、売買契約における売主の担保責任と同様に考えられています。ただし、売主の担保責任の負い方には、1・解除、2・代金減額、3・損害賠償(補償)がありますが、このうち解除については判例で否定されており、原則として損害賠償(補償)という形で責任を負うことになります)

 

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