Q040 遺産分割協議のために相続人全員が集まる必要があるか

【Question】

遺産分割協議をしなければならないのですが、きょうだいが皆遠方に住んでおり、全員集まるのが大変です。
そうは言っても法律の決まりですから、やはり皆で顔を合わせて話し合わないといけないのでしょうか。できれば電話で済ませられるとありがたいのですが。

 

【Answer】

遺産分割協議は、もちろん相続人全員で集まって腹を割って話し合えれば、それに越したことはありません。

しかし、相続人が遠方にいる場合には全員が一度に集まるというのは難しいかもしれません。その場合には何度かに分けて集まっても、電話を利用して話をまとめても、問題はありません。

ただし、集合しなくても相続人全員の意見が一致することが必要で、相続人を一人でも欠いた遺産分割協議は無効です。

 

【Reference】

遺産分割協議と言うと相続人全員が一堂に会して話し合いをしなければならないようなイメージがありますが、一度に全員が集まれないのであれば何度かに分けても良く、電話で話し合っても方法として問題はありません。
(協議がまとまらない場合に利用される家庭裁判所の遺産分割調停手続きでも、新しい家事事件手続法によって電話による調停が可能になりました)

ただし、遺産分割協議の結果を書面にまとめ、相続人全員が署名捺印(実印)したうえ印鑑証明書をつけなければ、不動産の名義変更などができません(注1)。

そのため、電話で遺産分割協議をする場合には、
(1)1通の遺産分割協議書を郵送でやり取りして、持ち回りで署名捺印をする
か、または
(2)『遺産分割協議証明書』という全員同じ内容の書面を人数分用意して、相続人それぞれに郵送して署名捺印してもらう
か、どちらかの方法で書面をととのえる必要があります。

これらの書面への捺印はそれぞれの実印であり、印鑑証明書をつけてもらいますので、郵送で紛失してしまうと大変です。書類の受け渡しを行う際には書留扱いとし、取り扱いに十分注意してください。

また、遺産の中に預貯金があると、その手続きにあたって金融機関所定の様式に相続人全員の署名捺印を求められるケースが少なくありません。
何度も書類のやり取りをするのは面倒ですから、遺産分割協議書(または遺産分割協議証明書)を郵送でやり取りするときには、このような金融機関所定の用紙も一緒に同封しておくようにすれば楽です。

(注1)ワープロソフトなどで遺産分割協議書(または遺産分割協議証明書)を作るときに相続人の住所氏名まで入力してから印刷し、相続人本人に捺印(実印)だけをしてもらう方法でも有効であり、手続き自体は可能です。
ただし紛争の原因になることがありますので、なるべく自筆署名のほうが望ましいと言えます。

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